JETROマニラが15日、フィリピン国内でのスペースXの高速通信サービスのスタートに関する情報を発表しました。
スペースXの高速通信サービス、2022年中にフィリピンで提供開始
フィリピン情報通信技術省(DICT)は7月28日、イーロン・マスク氏が率いる航空宇宙企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の衛星通信サービス「スターリンク」について、2022年末までに通信接続開始を見込むと発表した。
また、DICTは、スターリンクが2022年内に稼働すれば、2023年の1~3月にフィリピンの辺地でスターリンクを駆使した無償のインターネット接続の提供に着手するとコメントした(政府通信社2022年7月27日付)。スペースXが東南アジアでスターリンクを展開するのはフィリピンが初めてとなる(2022年4月13日記事参照)。
スターリンクを駆使したフィリピンでのインターネット接続サービス提供は、DICTの通信施策「ブロードバンド・ナン・マーサ」(注1)の一環として実施される。通常、スターリンクの衛星通信サービスを利用するには、衛星通信機器やルーターなどの機器が必要で、これらの導入に599ドルかかる。加えて、月々99ドルの利用料が発生するため、スターリンクのサービスは個々の家計にとって金銭的な負担が大きい。こうした状況に鑑みて、同施策では、地域コミュニティーでサービスを享受できるよう政府が予算を拠出し、バランガイ(注2)の施設などに必要な機器を設置する。
DICTは今回のスペースXとの取り組みによって、フィリピンで地理的に孤立して不利な地域に居住をする人々が無料の高速・低遅延インターネットサービスを享受できるようになると説明した。また、この取り組みによって、行政の電子政府化(注3)が進展すると付け加えた。
(注1)フィリピンの通信ネットワーク・デジタルへの接続を高め、デジタルデバイドを解消するための施策。「国民のブロードバンド」の意味。
(注2)バランガイとは、最小行政単位を意味し、フィリピン全土に4万2,000余りに及ぶバランガイが存在する。
(注3)情報通信技術を駆使することで、行政が有する情報への国民のアクセスの容易性を高めるとともに、情報伝達の効率性や行政サービスの質・透明性を高める取り組み。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)
(フィリピン)
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