フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は7月27日、就任以降第5回目となる大統領施政方針演説のSONA(State of the Nation Address)を実施しました。今回はその詳細をお届けいたします。
SONA (State of the Nation Address)とは、フィリピンの大統領が毎年行う施政方針演説のこと。政治家や外交官などが出席し、大統領は将来の国の展望や経済、社会状況について、前年度を振り返りながら演説します。
SONAは通常、ケソンシティのバタサン・パンバンサ(下院議事堂)で実施されます。2016年6月に大統領に就任以降、今年で第5回となる演説は合計で1時間40分にわたりました。
新型コロナウイルス感染症対策について
ドゥテルテ大統領はフィリピンで新型コロナウイルス感染症対策に携わる医療機関や医療従事者、そしてIATF(フィリピンの省庁間タスクフォース)などに感謝の意を表しました。
今後は地方などの医療体制の充実を図るため、2021年にかけて2万人のヘルスワーカーを採用する方針も発表。
また新型コロナウイルス感染症拡大による経済へのダメージに関しても言及。 貧困世帯を中心に2000億ペソ規模の支援を行ったことを強調しつつ、今後はインフラ整備の推進など、政府が主導するプロジェクトを通じて経済成長を後押しする考えを示しました。
「新型コロナ前の状態と同様のレベルまで経済を再開させるのは、現時点では選択肢としては考えられない」と述べたうえで、感染防止と経済再開のバランスを取る必要性も表明しました。
ABS-CBNの放送権と通信会社のサービス改善について
画像はABS-CBNの公式サイトから引用
ドゥテルテ大統領はスピーチの冒頭でABS-CBNをめぐる問題についても指摘。ABS-CBNとはフィリピン最大の民間放送局で、免許を更新をめぐってトラブルが発生し、現在は有料のテレビとケーブルテレビの放映を停止しています。
世論形成に大きな影響力を持つ同社は、現政権に対して批判的な内容のニュースなどを相次いで報道。ドゥテルテ大統領は「2016年の選挙の際、私はABS-CBNを経営するロペス財閥の犠牲者だった」などと、繰り返し発言しました。
さらにフィリピンの大手通信社であるGlobeとSmartに対しては、サービスの改善を促しました。
中国との外交
ドゥテルテ大統領は、フィリピンは独立した外交政策を享受し続けていると主張した一方で、中国と領有権を争う南シナ問題については、外交的努力を続ける方針を表明しました。また、軍事的に中国と敵対することがいかに無力であるかを認識したと話しました。
今後の新型コロナウイルス感染症のワクチン確保については、中国の習近平国家主席に支援を要請したことも公表。「中国でワクチンが完成した際は、フィリピンが最初を供給を受けられるように嘆願した」と述べました。
演説の全文はこちらからご確認いただけます!画像は政府公式サイトから引用しました。
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