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【巨人フィリピン訪問インタビュー前編】日本の野球をフィリピンの教育の力に
2020年02月15日更新

プロ野球の巨人軍が1月にフィリピンで野球教室や講演を実施した。巨人は国際協力機構(JICA)と業務協力協定を結んでおり、これまでも中南米などで野球の普及活動に取り組んできたが、フィリピンでは初めて。

巨人軍の統括部の森田聡さん、元巨人選手で現在はフィリピンで野球アカデミーを運営する柴田章吾さん、そしてアカデミーで理事を務める鈴木敬子さんの単独インタビューを前編、後編に分けてお届けする。

【略歴】

◆Millile Samurai Foundation
PROGRAM ADVISOR/柴田章吾さん
1989年愛知県生まれ。愛工大名電高校、明治大学を経て、2011年にプロ野球ドラフト会議で読売ジャイアンツからドラフト指名を受け投手として活躍。2015年から読売ジャイアンツ球団職員、ジャイアンツアカデミーのコーチを経験。2016年にアクセンチュア株式会社へ転職。2019年10月から現職。


◆読売巨人軍株式会社
統括部/森田聡さん
東京学芸大学卒業。2005年、米独立リーグ「サムライベアーズ」に所属。2006年に読売巨人軍がプロ野球12球団に先駆けて新設したジャイアンツアカデミーのコーチを勤め、その後フロント(球団職員)入り、現職。


◆Millile Samurai Foundation
ACADEMY DIRECTOR/鈴木敬子さん
青山学院大学卒業。米ボストンのシモンズ大学で博士号を取得。アメリカや日本、香港やフィリピンなどで通訳として活躍し、2001年からフィリピンに在住。現在は通訳兼翻訳家として活動しながら、運営をサポートしている。

マニラのグラウンドで談笑する森田さん(写真左)と柴田さん(写真右)

 

ーー1月に実施されたフィリピンでの野球親善活動についてお伺いさせてください。

 

森田さん:1月9日から約1週間のスケジュールでマニラやダバオを周り、野球教室や講演を実施しました。今回は巨人が業務協力協定を結ぶJICAと共同のプロジェクトとしてフィリピンを訪問。巨人はこれまでも青年海外協力隊員が派遣される国や地域にコーチを派遣し、野球の振興や技術力の向上に取り組んできました。

 

今回のメインのイベントはダバオで開催した野球教室で、200人ほどの子ども達が集まりました。ダバオ市は明治以降、移民政策により多くの日本人が移り住み、発展を支えてきた場所です。第二次世界大戦の激戦区だったダバオから、戦後日本に帰還した日本人が、ダバオの日系人支援の一環として野球振興に力を注いできました。

Millile Samurai Foundationの運営をサポートする鈴木さん

 

柴田さん:日本の野球を通じて子どもたちは運動能力や体力を強化できるだけでなく、挨拶や礼儀といった作法も学ぶことができます。私は2019年にマニラを拠点としたMillile Samurai Found.を立ち上げ、マカティで週3回、それぞれ2時間の野球教室を展開しています。参加したい方は弊社のホームページから申し込みいただける仕組みです。練習は1回1000ペソの回数券制度を導入しており、現在の会員は80人ほどです。

楽しく集中して練習をしてもらえるために、基本練習もゲーム形式にするなど、こちらも様々な工夫をしています。フィリピンの子どもたちはつまらない時は本当につまらなさそうな顔を見せますが、楽しい時にはとても生き生きとした顔をしてくれますね。野球の指導では「楽しく、効率的に」がモットー。野球の技術を磨くだけでなく、ものを大切に扱ったり、挨拶をきちんとしたりと礼儀を教えることも重視しています。


鈴木さん:Millile Samurai Found.の練習では、巨人の皆さまがこれまでに確立してきたメソッドを子どもたちに提供できるという強みがあります。今回はJICAさん、巨人の皆さまに多大なご協力いただき、フィリピンで野球の練習や講演を行うことができました。今回のような活動を通じて、実績を丁寧に積み上げていけたらと思います。

ーー柴田さんご自身も元巨人軍の選手だったとお伺いしました。

柴田さん:2012年から14年まで、投手として巨人に在籍していました。小学生の頃に野球に夢中になり、6年生では全国優勝を達成。中学3年生で日本代表に選出されたのですが、国から難病に指定されている「ベーチェット病」を同時期に発症してしまい、辞退せざるを得なくなりました。体内に腫瘍ができ、40度の高熱が突然出てしまう病気です。

 

治療をしながら高校は愛工大名電高校に進学。甲子園にはどうしても出場したかったため、病院の先生と交渉を続け、なんとか許可をいただくことができました。

 

高校3年生の時に甲子園にピッチャーとして出場し「あきらめない限り夢は続く」という本も出版。その後明治大学に進学し、卒業後は巨人軍に入団しました。

ーー巨人引退後のご経歴を教えてください。

柴田さん:現役選手を引退した後は、球団職員として野球を通じて子どもの教育を行う「ジャイアンツアカデミー」で活動していました。しかし他業界で働くことにとても興味があったため、すぐに転職活動を開始。社会人としてこれからどのような新しい世界を知れるのか、とてもワクワクしていたことを覚えています。

OB訪問を半年間で100人ほど行いながら「モノを売るより、人が商品になる会社に入りたい」「いずれは海外に行きたい」と考え、総合商社や広告代理店を目指しました。しかし最終面接で落ちてしまって。

そこで短期間でキャリアアップが見込める外資コンサルに目を向け、アクセンチュアに入社しました。業務改革やIT変革、海外展開の支援などに従事し、2019年10月に退職してフィリピンで現在の会社を立ち上げました。

インタビュー後編ではそれぞれの今後の事業展開などについて詳しくお話を伺います。お楽しみに!

 

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