「移転価格税制」について、皆さんはどのくらいご存じでしょうか。実はほぼすべての日系企業や外資企業に関わりのある制度のため、手続きに不備などがあった場合は、追徴課税が課せられてしまうケースもあります。そこで今回は「移転価格税制」の詳しい内容について、JAPAN QUALITY BUSINESS SOLUTIONS INC.(JQB)さんに教えていただきました!フィリピンの会計事務所もご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
すべての法人が対象!移転価格税制とは?
現在注目を集めている「移転価格税制」。今回はフィリピンにおける移転価格税制というテーマで、JAPAN QUALITY BUSINESS SOLUTIONS INC.(JQB)日本記帳代行(日本経営グループ)の金光淳規氏にお話を伺いました。
① 移転価格関連文書とは?
まず移転価格税制とは何かについてですが、 例えば、親子会社間取引がある場合に、 その取引を通じ、 会社の利益を国外に移転させることを防止するため、 その取引が通常の第三者との取引による取引価格(独立企業間価格:ALP、 Arm’ s Length Price)で行われたものとみなして課税所得を計算し、 税金を課する制度です。
つまり、 フィリピン法人の利益を日本法人に付け替えるようにみなされた場合は、 その部分に対して、 フィリピンで課税をするという制度です。 これまでフィリピンでは、 2013 年に移転価格に関するガイドライン、 2019 年に移転価格調査ガイドライン (RAMO No. 1-2019) が公表されました。 そして2020 年 7 月と 9 月にそれぞれ移転価格税制に関する厳格なルールが発表されました。
② 移転価格関連文書の期限と注意すべき点
では、具体的に「誰が(対象企業)」「何を ( 提出書類 )」「いつまでに ( 提出期限 )」行わなければならないかを説明します。
1.誰が(対象企業)
金額にかかわらず、フィリピン国内、又は、国外において、関係会社取引のある法人
( 例:フィリピン子会社が製造した製品を日本の親会社に輸出している等)
2.何を ( 提出書類 )
・ BIR Form 1709
・ 関係会社取引がわかる契約書、 請求書等
・ 上記取引にかかる源泉税がある場合は、 その申告書 ・ 納付書
・ 移転価格文書(ローカルファイル) など
3.いつまでに ( 提出期限 )
2020 年 11 月 1 日時点での提出期限は下表の通りです。
フィリピンにおいて、陥りがちな会計の落とし穴と会計事務所の選定方法
経営上、 会計や税務の分野はその専門家に任せるケースが多く、かつ、様々な要因(実務と理論の乖離、解釈や見解の相違が頻発)により、判断に迷うケースがあります。
そのため、 想定外のリスクを最大限に軽減するためには、日本とフィリピンにおいて一定の知識と経験を有する会計事務所を選定すること、ローカル事務所にもネットワークを持っていること、実務家としての助言を受けることができることなどが挙げられると考えています。
今回お話を伺った
JAPAN QUALITY BUSINESS SOLUTIONS INC.(JQB)
日本記帳代行(日本経営グループ)の金光淳規氏
日系会計事務所のメリット
私共JQBでは、 日本とフィリピンの両面から課題解決に対する機能を有しています。よく日本の会計事務所は、経営者のよろず相談ができる唯一無二の存在であると言われています。
フィリピンにおいても、 そのような存在になれるよう会計 ・税務の分野を通して、皆様のビジネスの発展の一助になれると幸いです!
プライマーでは他にも、グローバルな4大会計事務所のほか、日系の会計事務所を数多くご紹介しています。ぜひこちらのページもあわせてご確認ください!
※2021年1月追記
2020年7月に急遽発行されたBIR新Form1709と移転価格文書の提出義務化に、多くの企業が対応を迫られていましたが、12月21日付けで新たにRR No.34-2020が発表されました。
BIRが調査の効率化を図ったことによりForm1709、移転価格文書の提出・作成基準がそれぞれ改定され、一定規模以下の中小企業は対象から免除される内容となりました。
Form1709の提出基準
a)大規模納税者
b)タックスインセンティブの恩典享受企業(PEZA, BOI登録事業体)
c)直近の課税年度で営業利益が純損失の企業(その他過去2年分も損失が出ている企業)
d)上記a~cの要件を満たす関連事業者と取引がある企業(関連事業者の定義はRR19-2020参照, Key Management Personalの取引は除く)
移転価格文書の作成基準
– a:年間売上が150,000,000ペソ以上かつ関連企業取引が90,000,000ペソ以上ある。
– b:該当年度で60,000,000ペソを超える固定資産の取引がある。もしくは15,000,000ペソを超える無形固定資産の取引がある。
本通達により、移転価格文書は1709提出時に添付する必要はなくなりましたが、税務調査時にBIRから依頼があった際には30日以内に提出する必要があります。
新Form1709の内容の修正
2020年7月に公開された1709に代わり、簡略化されたFormが公開されています。
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