ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  フィリピンの会社清算【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第六十回】

フィリピンの会社清算【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第六十回】

『フィリピンの会社清算』

今月の事例

Q.フィリピン事業を撤退することになりましたので、現地子会社をなるべく早く清算したいのですが、どのような手続が必要ですか?

<清算決議による方法>

フィリピンにおいて設立された法人を閉鎖する方法としては、清算決議を行う方法があり、以下の手順で決議を行います。
・取締役会において過半数の賛成にて清算決議
・20日前までに株主に対して個別の株主総会開催通知を発送、かつ、株主総会開催日までに新聞紙上に株主総会開催について掲載
・株主総会において、過半数の賛成にて清算決議

株主総会において清算決議がなされますと、法人の清算につきSECに対して申請することになりますが、数ある申請書類の中にBIRのTaxクリアランスが存在します。これは、過去当該法人が全ての納税義務を果たしていることをBIRが確認をしたうえで未払いが存在しないことを証明するものです。そのため、SECへの清算申請に先立ち、BIRにおいてこのTaxクリアランスを取得することが必須となりますが、このTaxクリアランスを取得するために1から2年はかかることが通例となっています。SECはこのTaxクリアランスが添付されていない申請は受け付けませんので、実際にはこれを取得するまで法人清算の申請ができず、法人は存続していることとなり、その間、GISや財務書類の提出義務などが通常の存続している法人と同様に課されることになり、この。

<存続期間短縮による方法>

上記の清算決議による方法の煩雑さを避けるためにより一般的に使用されている方法が、法人の存続期間を短縮し、存続期間の満了をもって法人を終了させる方法です。この方法をとる場合、フィリピン法人の定款には法人の存続期間に関する規定がありますので、定款を変更して存続期間を短縮する手続が必要です。具体的には、過半数の賛成による取締役会決議及び発行済み株式の3分の2以上の賛成による株主総会決議により定款を変更することができ、法人はかかる決議に基づく定款変更についてSECに届出を行います。もっとも、法人の存続期間を1年未満とする内容の定款変更の届出を行う場合、BIRのTaxクリアランスを添付する必要があり、このクリアランスを取得するためには1から2年かかるということは上記と同様です。このため、これを避けるために存続期間の満了日を1年以上先に設定する方法がとられています。
このように、フィリピン子会社の閉鎖をなるべく早く行おうとする場合、早期に準備を始めることが必要です。

結論

A.債務を完済していることを前提にしますと、清算決議を行う方法と、法人の存続期間を短縮する方法があります。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
住所: Don Pablo Building 114 Amorsolo Street, 12290Makati City, MetroManila, Philippines
電話:02-8892-3011(代表)・02-8892-3020(日本語対応)・0917-851-2987
E-mail: [email protected]


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
(桃尾・松尾・難波法律事務所)
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目1番地
麹町ダイヤモンドビル
電話:+81-3-3288-2080
FAX:+81-3-3288-2081
E-mail: [email protected]
E-mail: [email protected]
URL: http://www.mmn-law.gr.jp/

広告

フィリピン法律あらかると 前回のコラム

フィリピンの会社相手に損害賠償を請求する民事裁判を提起することが考えていますが、フィリピンの民事裁判制度はどうなっていますか?

新着コラム

フィリピンでの職場におけるハラスメントに関する法律はどのようなものがありますか?
日本で持っている登録商標をフィリピンでも保護したいのですが、どうすればよいですか?
日本では被疑者に警察などが接触せずにいきなり逮捕する場合がありますが(この場合、警察などが裁判所に逮捕状を請求して裁判所が逮捕状を発行し、その逮捕状を執行するという形での逮捕となります)、フィリピンでも日本と同様に被疑者がいきなり逮捕されるということはあるのでしょうか。本稿ではフィリピンでの逮捕の手続について解説させて頂きます。
フィリピンでも日本と同様にコロナのパンデミック期間にリモートワークが拡がりを見せましたが、フィリピンにおけるリモートワークに関する法制について今回はご説明させて頂きます。
フィリピンの空港から出国しようとする際に、イミグレーションの係官に止められて出国できないという場合があり得ます。これは、出国しようとした外国人に何らかの出国を制限する命令が出ているためです。そこで、まずどのような出国禁止命令があるのかにつき解説します。
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you
ページトップに戻る