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第七十回ビジネス烈伝 / 富士ゼロックス フィリピン 社長 加藤英明さん

印刷に多様な付加価値をつけ、顧客のビジネスチャンスを拡大させる

富士ゼロックス フィリピン
社長
加藤英明さん

1964年新潟県生まれ。明治大学政治経済学部卒業後、富士ゼロックスに入社。本社の営業計画部門などを経て、2004年から中国に駐在。上海やシンガポールのアジア太平洋本部で販売計画などに携わる。2013年からミャンマー拠点の立ち上げに参画。2018年2月から現職。

心に残っている本
中国の「孫子」です。特に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という一節が非常に心に残っています。この言葉は、自社を知り市場を知り、そして競合他社を知るというマーケティング戦略に通ずるものがある。仕事などで行き詰まった時にヒントになることが多く、手垢がつくほど愛読しています。

 

2018年2月に富士ゼロックスフィリピンの社長に就任した加藤英明さん。顧客の業務効率化や業績の拡大をサポートするため、商品の提案だけでなく、印刷に付加価値をつけたサービスの提供に徹底したこだわりをもつ。これまで上海、シンガポール、ミャンマーなど海外に長く駐在した経験をいかし、国の発展や需要に応じた事業展開の舵取りを担う。

 

 

編集部

 

フィリピンでの事業内容について教えてください

 

加藤さん

 

複合機や印刷機、トナーなどの商品を販売するほか、機械の保守やメンテナンスなどを通じてお客様のビジネスサポートを行っています。弊社は1965年に初めての海外支店をフィリピンに設立しました。アジア通貨危機では売り上げが低迷しましたが、その後は国の成長とともにGDPと同じ比率で拡大を続けています。クラークやアンへレスなど地方都市での事業の成長が著しいですね。これまでは主に白黒の印刷機の需要がありましたが、カラー印刷機の販売も増加しているほか、アフターメンテナンスの収入も増えてきています。渋滞や脆弱な配達網に左右されず、フィリピン全土にいかに均一にサービスを届けられるかが現在の課題です。

 

 

編集部

 

課題に向けて新しく取り組まれたことはございますか?

 

加藤さん

 

これまでは紙の請求書を郵送していましたが、利便性向上のため電子請求書の発行を始めました。複合機をネットワークで管理し、運用や消耗品の補填をスムーズに行うサービスにも注力しています。端末の使用状況を遠隔で確認することで「そろそろ紙がなくなるため早めに交換しましょう」といった事前の通知が届き、消耗品がなくなる前に対応できるようになるのが1番のメリットです。お客さまの満足度が上がるだけでなく、弊社のスタッフで対応が可能になるので、コストを抑えて効率のよいオペレーションもできるようになります。

 

 

編集部

 

今後の展開をお聞かせください

 

加藤さん

 

お客様それぞれの複合機の使用頻度などを判断して、機器の適切な配置や導入を促す「マネジドプリントサービス」の展開を進めていきます。グラフィックデザインがビジネスチャンスを広げる可能性もありますので、印刷の付加価値をつける取り組みにも邁進していきたいですね。フィリピンで商品の箱などパッケージ印刷の需要が大きくなれば、参入できる市場はより広がっていくと思います。

 

 

編集部

 

御社の強みを教えてください

 

加藤さん

 

機器の装備力や印刷技術の高さが強みです。海外と比べて日系の複合機メーカーの技術力は大変高いですね。実は現在、人工衛星に値するほど非常に複雑な技術が機器に使用されています。世界初の量産コピー機はアメリカで生まれたのですが、特許の解禁以降日系メーカーが参入し、技術が発展していきました。

 

 

編集部

 

近年ではペーパーレスの動きも進んでいますよね

 

加藤さん

 

バブル崩壊を端緒にペーパーレスの動きが出てきましたが、私たちにとってはビジネスチャンスともいえる出来事でした。紙の書類を電子ドキュメントに変更できる複合機が登場したように、需要の変化に応じて技術の革新も進んでいきました。

 

 

編集部

 

御社はCSR活動にも注力されていると伺いました

 

加藤さん

 

学研ホールディングス様と共同で初等教育の学習支援を行っています。学研様に無償提供していただいた英語と算数の教材を我々が印刷し、配布する活動です。フィリピン以外ではミャンマーや、タイ、カンボジア、ベトナム、現在はインドネシアでも展開しています。

 

 

編集部

 

加藤様ご自身はどのような経緯で富士ゼロックスに入社されたのですか?

 

加藤さん

 

私は1964年に新潟県で生まれましたが、その後はずっと東京都で育ちました。大学は明治大学の政治経済学部に進学。学生時代はホテルで2年ほどアルバイトをしていたのですが、海外からの宿泊客が多く、英語を使用する機会も次第に増えていきました。当時の経験がきっかけで、将来英語を使って仕事をしてみたいと思うようになりましたね。日本は製造業に強みがあるうえ、商品に対して思い入れをもって仕事に取り組める環境を選びたいと考え、メーカーを志望。1986年に富士ゼロックスに入社しました。

 

 

編集部

 

入社後はどのような部署に配属されたのでしょうか?

 

加藤さん

 

営業で東京都港区を5年間担当した後は国内の営業計画部門にうつり、販売計画の作成に携わりました。お客様の要望の変化に応じて、説明方法や販売計画を変えていきました。

 

編集部

 

その後はどのような業務を担当されたのでしょうか?

 

加藤さん

 

2004年から中国の上海に駐在しアジア太平洋全体のマーケティングに携わり、その後ミャンマーにも駐在しました。中国は発展の真っ只中で全国に30支店、ディーラーだけでも2000社ほどいる大きな市場でした。中国人ははっきりと物事をいいますが、自分ごととして仕事をしっかり進めてくれたので、私はとてもやりやすかったですね。

 

編集部

 

ミャンマーでのご経験をお聞かせください

 

加藤さん

 

2013年からミャンマー拠点の立ち上げのため、5年ほど駐在しました。法や税制などをゼロから学ぶ日々でしたね。日本政府も非常にミャンマーとの連携に力を入れており、国の成長を肌で実感できました。私が赴任した年に商工会議所に登録していた日系企業は約80社でしたが、駐在が終わる頃には約400社になっていたほど、進出企業が増えていたのです。ミャンマーのGDPは平均で6〜8%のびており、将来有力な市場と判断される方が多かったのだと思います。

 

 

編集部

 

これまでに得た教訓をお聞かせください

 

加藤さん

 

海外で事業を行う際は、その国への感謝や尊敬の気持ちを忘れてはいけません。現地の人や土地をおかりして事業をしていることを常に認識すべきですね。「日本では」「他国では」などという言い訳は何の役にもたたない。文化の違いは良し悪しではないし、強弱でもありません。

 

 

編集部

 

プライベートな時間はどのようにお過ごしですか?

 

加藤さん

 

家族と一緒にゴルフやジョギングなどのスポーツをしたり、町歩きや旅行に行ったりもします。弊社はフィリピン国内には8つ支店がありますので、出張でアンへレスやセブ、ダバオなどに行くこともあります。

 

 

編集部

 

座右の銘を教えてください

 

加藤さん

 

太平洋戦争開戦時に連合艦隊司令長官を勤めた、山本五十六山本いそろくの格言です。「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」。マネジメントをする上で非常に大切にしています。

 

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