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NRI 野村総合研究所 フィリピンビジネス通信 第6回

フィリピンビジネス通信 ~コンサルの視点から~

NO.6 インタビュー
コロナ禍におけるオンライン研修実施のコツ

野村総合研究所(NRI)マニラ支店では、人事・組織コンサルティングサービスの一環として、マネジャーや次世代幹部候補向けの教育研修を実施しています。  今回は、コロナ禍でオンラインによる研修を実施してきたNRI マニラ支店支店長の高岡とシニアビジネスアナリストの山下に、インタビューした内容をご紹介します。

 

 


高岡 真紀子
NRI マニラ支店 支店長


山下 ちえ
NRI マニラ支店
HR セクター ビジネスアナリスト


土屋 和生
NRI マニラ支店
シニアビジネスアナリスト

 

 

筆者: 読者の方に向けてNRI マニラ支店が提供する人事・組織コンサルティングサービスの内容を教えてください。

 

高岡/ 山下: 大きく「制度設計」と「組織・リーダーシップ開発」を行っています。前者は、ビジョン達成に向けた組織体系や役割の規定、報酬制度、評価・昇格制度などの構築です。後者は、企業風土診断やエンゲージメントサーベイ、リーダーシップ研修等のサービスです。

 

 

筆者: 最近はオンラインでのリーダーシップ研修が多くなっている印象ですが、どのような研修を実施していますか。また、何か工夫していることはありますか?

 

高岡/ 山下:コロナの影響でテレワークを導入した企業では、リモート下で部下のパフォーマンスをどう管理するか、日々のフィードバックをどう効果 的に行ったらよいかという悩みが増えています。そこで、リーダー層向けのパフォーマンスマネジメント研修(評価者研修)やフィードバック研修でスキルを高めるためのワークショップを実施しています。オンライン研修は、対面研修のように丸一日はできないため、一回あたりのセッションを2 ~3時間に区切って行っています。また、知識部分は講義ビデオを事前に聴講してもらい、オンライン研修の場は「スキル」に焦点をあてたロールプレイやデモ、ディスカッション中心の内容にしています。参加者の人数を絞る、アイスブレークを入れる、参加者が発言する時間を増やす、ビデオは必ずオンにする等、その場の一体感と参加者が発言しやすい環境を作ることを意識しています。

 

 

筆者:自身の経験でも参加人数やカメラの有無により発言のしやすさが変わることは納得できます。参加人数やカメラの使い方について意識していることはありますか?

 

高岡/ 山下:オンライン研修の場合は、画面で全員の顔が見え、名前が覚えられる人数に絞って行っています。カメラについてですが、一般的にコミュニケーションにおいてはノンバーバル(非言語)と呼ばれる視覚及び聴覚から得る情報が9 割以上を占めます。このため、ビデオが無いと、話し方や表情が伝わらず伝達できる情報量が極端に少なくなります。また、講師としても受講者の表情が見えると、体の動きや表情を見ることで受講者を巻き込みながら効果的な研修を行うことができるため、カメラの有無は大変重要なポイントです。

 

 

筆者:オンライン研修について受講者からの反響はいかがですか?

 

高岡/ 山下:毎回の研修後に満足度アンケートを行っていますが、これまでのところ受講者の満足度は高いです。ブレークアウトセッション(Zoomにおいて個別の部屋を割り当てる機能)や2-ウェイのコミュニケーションツール(Menti、Ahaslide 等)を使うなどして、相方向的な研修が行えるように取り組んでおり、受講者の方々に満足いただけているようです。

 

 

筆者:例えば受講者が自宅からオンラインで参加する場合であっても、対面と同等の効果が期待できるのでしょうか?

 

高岡/ 山下:自宅でのインターネット環境が整備されている場合は、むしろ自宅から参加することをお奨めしています。自宅だとマスクやフェースシールドを着けておらず、声が聞きやすく円滑なコミュニケーションが可能です。また、特にリーダーシップ育成は、人格や人間性に関する内容も扱い、ワークショップでは、個人としての特性や素質にまでディスカッションが及びます。この点、自宅から参加する場合、オンとオフが融合された環境にいるので、参加者が会社というオンの環境にいる時に見られる緊張感が良い意味で緩和され、ふとした瞬間に個々人の「本来の姿/ 思い」が垣間見えることがあります。リーダーシップ育成では、等身大のままの自分をさらけ出すほど効果が高いと言われていますので、ファシリテーターとしても参加者一人ひとりが本音を出せる環境作りを意識しています。

 

 

筆者:今後もオンライン研修のニーズが続くものと予想されますが、どのようなテーマが求められていると考えていますか?

 

高岡/ 山下:在宅環境において「リーダーがどのように部下を管理し効率的な意思疎通を図るか」、「リモート環境においてどのように部下と信頼関係を構築するか」という課題に直面しているケースが多くなっている印象です。また、日本人の駐在員がコロナの影響で日本に帰国したことで、フィリピン側の早急な現地化を余儀なくされている企業も出てきており、フィリピン人社員へのサクセッションプランニング(後継者育成計画)に対するニーズも高まっています。コロナという今回の危機を乗り越えるためのマネジメントチームとしての一体感や各リーダーの責任感の高まりを強く感じます。今後もリーダーシップ育成支援をはじめ、日系企業の成長や円滑な事業を引き続き支援していきたいと考えています。

 

 

 

新型コロナウイルスの影響によりコスト削減に関する相談が最近増えております。コスト削減の一環として「報酬体系の見直し」や「職務遂行ができていない低パフォーマーへの対応」についてのご相談がありましたらお気軽にどうぞ。

 

NRIマニラ支店では、「フィリピンにおけるデジタルヘルスの活用」と題して、フィリピンにおけるヘルスケア業界の課題、政府の取組み、今後必要な施策等についてレポートを纏めています。レポートが必要な場合や上記内容詳細に関する質問がある場合は、([email protected])までご連絡ください。当該レポートは、LinkedInでも発信していますので(LinkedIn でNRI Manilaと検索)、是非ご覧ください。

 

 

●本リサーチおよびコンサルに関するお問合せはこちらへ

Nomura Research Institute Singapore Pte. Ltd Manila Branch

住所:26th Fl., Yuchengco Tower, RCBC Plaza 6819 Ayala cor Sen. Gil J. Puyat Avenues, 1200 Makati

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