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フィリピン2024年及び長期経済成長の見通し【NRI 野村総合研究所 フィリピンビジネス通信 第44回】

フィリピンビジネス通信 ~コンサルの視点から~

フィリピン2024年及び長期経済成長の見通し

野村総合研究所(NRI)シンガポールマニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピンの各業界調査や事業戦略策定支援、組織・人財マネジメント等に関するコンサルテーションを行っています。今号では、フィリピンの2024年経済成長見込み、そして2040年にかけての長期的展望について解説します。

 

 

フィリピン2024年経済成長見込み

 

フィリピンは2022年に7.6%と高い経済成長を遂げ、2023年は世界経済が減退する中、第三四半期(1~9月)までのGDP成長率は平均5.5%を達成しました。NRIでは2023年の年間経済成長率を5.5%と見込んでいます(2024年1月5日現在)。

 

政府目標の6.0-7.0%は下回るものの、近隣諸国と比べて高成長を継続することができました。 昨年は1月のインフレ率が8.7%と2008年以来の高い物価上昇率で年を明けました。特に食料品・飲料や交通費といった日々の生活に直結する物価の高騰は10%を上回り、NRIマニラが昨年5月から6月にかけて実施した消費者調査でも、マニラ首都圏に住むミレニアル層およびZ世代中間層の約9割が高インフレの影響を受け、支出を控えるようになったと回答していました。

 

ショッピングモールや飲食店の賑わいを見ていると、インフレの影響による買い控えは肌感覚ではあまり感じられなかったかもしれませんが(特に上位中間層~富裕層が多いBGCやマカティといった首都圏中心部では)、フィリピン全体のマクロな数字で見ると国内個人消費は第一四半期の成長率6.4%から第二四半期は5.5%、そして第三四半期には5.0%と減速しました。

フィリピンが高い経済成長率を維持できている大きな理由が国内個人消費の高さです。フィリピンのGDP支出に占める個人消費の割合は約7割と極めて高いので、インフレによる消費者の買い控えが経済成長に与える影響は無視できません。2023年の後半にかけてインフレ率は4%台まで下がり、NRIでは2024年のインフレ率平均を約4%と見通しています。 2024年はインフレの減速により個人消費の成長率が5.7%に加速、さらに積極的なインフラ投資により政府支出が7.4%増加し、全体の経済成長率は5.9%になるとNRIでは予測しています。なお、昨年12月20日に大統領承認が下りた2024年政府予算は2023年に比べ9.5%増の5兆7,676億ペソ、内1兆4,175億ペソ(対前年6.6%増)がインフラ整備事業に割り当てられています。

 

図表1.フィリピンGDP支出別成長率

出所:NRI(2024年1月時点)

 

 

 

フィリピン経済の長期的展望

 

今後のフィリピン経済を牽引するキーは、個人消費を支える人口の多さです。フィリピンの人口は2023年時点で約1億1,700万人(推定)と日本に近づいています。2000年には2.1%だった人口増加率が2023年には1.5%と他国同様、年々減少傾向にありますが、インドやインドネシアの2023年人口増加率がそれぞれ0.9%、0.8%であるのに対し、フィリピンは2040年時点でも人口増加率1.0%と高い水準が見込まれています。

 

またフィリピンの平均年齢は2023年において25歳と日本の約半分ですが、2040年時点でも約29歳とアセアンで最も若い国となる見込みです。この若い人口が国内個人消費を牽引し続けると考えられます。今後の人口増加率と一人あたりGDP増加率のトレンドから推計したフィリピンの長期経済成長率は6.0%とアセアントップになる見込みです(図表2)。

 

図表2.長期経済成長見込み

出所:NRI推計(2024年1月時点)

 

当該レポートは、LinkedInでも発信していますので(LinkedIn でNRI Manilaと検索)、是非ご覧ください。

 

 

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