ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  サステナビリティ実践のための組織開発【NRI 野村総合研究所 フィリピンビジネス通信 第43回】

サステナビリティ実践のための組織開発【NRI 野村総合研究所 フィリピンビジネス通信 第43回】

フィリピンビジネス通信 ~コンサルの視点から~

サステナビリティ実践のための組織開発

野村総合研究所(NRI)マニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピン市場・業界調査や参入戦略、人材マネジメント、業務改革のコンサルティング、ITソリューションを提供しています。昨今注目が集まる「サステナビリティ」について、その実現に向けたポイントを組織開発コンサルティングセクター長のJuan Royが解説します。

 

 

 

Diane Cordova
Juan Roy 野村総合研究所(NRI)マニラ支店プリンシパルコンサルタント・組織開発コンサルティングセクターヘッド。人事、組織開発、業績管理、品質管理の領域で30年以上の経験を有する。フィリピン人材開発協会(Philippine Society for Talent Development, PSTD)元会長。企業文化とサステナビリティを注力テーマとして、企業変革・人事変革を支援している。

 

 

前号では、サステナビリティを組織文化として定着させることの重要性と、その実践的なステップについて解説しました。また、変革の推進者として、組織のリーダーが果たすべき役割についても触れました。最終回となる今号では、サステナビリティを推進するためのケイパビリティ(組織的能力、組織としての強み)開発について解説します。

 

 

サステナビリティ推進におけるケイパビリティ開発の重要性

 

2023年に国連より発表されたサステナビリティについての報告書、“Global Sustainable Development Report 2023”では、17の持続可能な開発目標を達成するための「変革のドライバー」のひとつとして、ケイパビリティ開発の重要性が強調されています。企業における人材育成や組織開発の重要性については、多くの組織が十分に認識していることでしょう。しかし、サステナビリティに焦点を当てた正式な研修プログラムは、未だ確立されていないのが現状です。

NRIマニラは、サステナビリティ組織の推進にはリーダーの意識改革とコミットメントが不可欠であるという考えにもとづき、企業の変革支援を行なってきました。これは、リーダーのコミットメントこそが組織の変革ドライバーであることを考えると、極めて実践的なアプローチだと言えます。

 

サステナビリティ・リーダーシップ開発研修とコミットメント

 

NRIマニラが行なってきたサステナビリティ領域での組織開発の事例として、3Hモデルを用いたサステナビリティ・リーダーシップ開発研修があります。3Hモデルは、Head、(頭;知識としての理解)、Heart(心;内発的動機付け)、Hand(手;実践・行動とコミットメント)の3要素を網羅することで、学びを行動につなげる手法を指します。下表では、サステナビリティ・リーダーシップ開発の基礎研修トピックを例示しています。

 

 

以下、NRIマニラによるサステナビリティ・リーダーシップ研修が、どのように自身のサステナビリティコミットメントの向上に寄与したかについて、実際の参加者の声を一部抜粋して紹介します。

 

 

 

 

サステナビリティと組織変革を加速させるには

 

リーダーのコミットメントを土台として、サステナビリティ変革をさらに推し進めるには、前号で取り上げた「サステナビリティ文化統合アプローチ」の取り組みにも着手する必要があります。具体的な取り組みの例として、サステナビリティ・コンピテンシー(※)開発、研修・エンゲージメントプログラムへの統合などを挙げました。

フィリピンの保険業界牽引企業にNRIマニラが提供した研修の事例として、「サステナビリティトレーナー養成研修」があります。これは、サステナビリティに関する企業内研修の講師を育成する目的で実施されたものです。研修の修了者は、企業内講師としてサステナビリティ・コンピテンシー開発の領域で活躍することが期待されます。

繰り返しになりますが、組織変革のドライバーとなるのは、リーダーの推進者としてのコミットメントです。リーダーのコミットメントを引き出すためには、サステナビリティ・リーダーシップ開発事例で示したような、網羅的な働きかけが有用です。さらに、組織全体のケイパビリティ向上には、包括的かつ体系的な取り組みが求められます。

本連載では、サステナビリティをテーマに様々な視点や事例を取り上げ、解説してきました。本連載が「サステナブルなビジネス」実現の一助となれば幸いです。

 

※参照:サステナビリティ・コンピテンシーの代表的なフレームワーク

 

European Commission(欧州委員会)による“Green Comp”

https://publications.jrc.ec.europa.eu/repository/handle/JRC128040

 

非営利組織Inner Development Goalsによる“IDG Framework”

https://www.innerdevelopmentgoals.org/framework

 

 

 

当該レポートは、LinkedInでも発信していますので(LinkedIn でNRI Manilaと検索)、是非ご覧ください。

 

 

●本リサーチおよびコンサルに関するお問合せはこちらへ

Nomura Research Institute Singapore Pte. Ltd Manila Branch

住所:26th Fl., Yuchengco Tower, RCBC Plaza 6819 Ayala cor Sen. Gil J. Puyat Avenues, 1200 Makati

メールアドレス:
[email protected]
[email protected]

 

野村総合研究所シンガポールマニラ支店の企業情報はこちらから。

 

広告

フィリピンビジネス通信 前回のコラム

野村総合研究所(NRI)マニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピン市場・業界調査や参入戦略、人材マネジメント、業務改革のコンサルティング、ITソリューションを提供しています。昨今注目が集まる「サステナビリティ」の社会的側面について、今号からはHRセクターに所属するJuan Royが解説します。

新着コラム

2023年に「ASEAN Matters: Epicentrum of Growth」がASEANの標語として掲げられている通り、近年ASEANの経済・社会は著しく成長しています。また、デジタル技術の革新とコロナ禍による生活様式の変化を機に、Grab 等に代表されるようにデジタル技術を活用した新しいデジタルインフラも普及し、ASEANにおける生活・事業環境が大きく変化しています。
昨年2023年は日ASEANの経済友好協力50周年の記念すべき年として、将来を見据えた新しい時代の日ASEANの経済共創の方向性を示す指針が多く示された年でした。昨年8月には日ASEAN経済大臣会合にて「日ASEAN経済共創ビジョン」が、12月には日ASEAN特別首脳会議にて「日ASEAN友好協力に関する共同ビジョンステートメント」が発表されました。
野村総合研究所(NRI)シンガポールマニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピンの各業界調査や事業戦略策定支援、組織・人財マネジメント等に関するコンサルテーションを行っています。今号では、フィリピンの2024年経済成長見込み、そして2040年にかけての長期的展望について解説します。
前号では、サステナビリティを組織文化として定着させることの重要性と、その実践的なステップについて解説しました。また、変革の推進者として、組織のリーダーが果たすべき役割についても触れました。最終回となる今号では、サステナビリティを推進するためのケイパビリティ(組織的能力、組織としての強み)開発について解説します。
野村総合研究所(NRI)マニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピン市場・業界調査や参入戦略、人材マネジメント、業務改革のコンサルティング、ITソリューションを提供しています。昨今注目が集まる「サステナビリティ」の社会的側面について、今号からはHRセクターに所属するJuan Royが解説します。
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you