フィリピンビジネス通信 ~コンサルの視点から~
カーボンニュートラル潮流への対応
フィリピンでできる脱炭素化対策とは ~カーボンニュートラル化へのステップ~
野村総合研究所(NRI)シンガポールマニラ支店では、産業・市場動向調査、新規事業立案支援、業務改善等に関するコンサルティングサービスを提供しています。今回は、近年よく耳にするようになった「カーボンニュートラル」、「脱炭素化」について、聞いてはいるが何から手を付けたらよいかわからないという企業様向けにフィリピン国内で取りうるステップ・方策をご紹介します。
フィリピン政府も温室効果ガス排出削減目標を発表
グローバルなカーボンニュートラルの潮流を受けて、フィリピン政府は2021年4月、パリ協定に基づき「国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution、NDC)」をフィリピン国として初めて提出しました。今回発表された目標では2020年から2030年の間に、何も対策をせず現状を維持した場合(Business As Usual)に比べ、再生可能エネルギーや代替燃料を活用したクリーンエネルギーシナリオ下でCO2をはじめとする温室効果ガスの75%削減を目指しています。75%のうち2.71%は自国の努力のみによって達成、残りの72.29%は先進国からの財務的・技術的支援を受けて達成を目指すという条件付き目標ではありますが、フィリピンも脱炭素化に向けて進みだしました。
企業内での取り組みはどうすればいいのか?
在フィリピン日系企業でも、カーボンニュートラルに向けた自社目標設定など、上位計画となるロードマップの策定を検討されていたり、日本本社や顧客からの要望でカーボンニュートラルに向けたアクションプラン策定や対策実行に迫られていたりするところが増えてきているようです。カーボンニュートラル(CN)化プロセスでは、まず企業としてのありたい姿を示すCNビジョンやCO2排出量削減目標、削減対象となる業務プロセス、削減方策などを決めたCN計画を策定し、次いで排出量の測定方法や算出方法など、現状の見える化をする方法を決定した後、方策を実行していきます。(図1)
では、フィリピンではどのような脱炭素化対策が取れるのでしょうか。脱炭素化対策は大きく分けて、①使用するエネルギーをクリーンなものに代替する、②クレジットや証書を利用しオフセットする、の二通りが考えられます。フィリピンでは現状どちらの対策も実施可能です。石炭火力発電が主力のフィリピンでは、CO2は発電時に多く排出されます。使用する電力を再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力に変えることでCO2排出量を削減できます。再エネ利用には、自社内に太陽光発電設備を導入し自家消費する、再エネを指定して購入するといった選択肢があります。一部の電力小売事業者はクレジットもサービスの一環として提供しており、オフセットも対策のひとつとして検討可能です。まずは自社の達成目標や顧客からの脱炭素化要求を整理・明確にし、自社で実行できる方策を検討することが重要です。NRIでは企業様のカーボンニュートラル対応のための方策策定支援を行っております。支援内容についてご興味がおありの場合は、ぜひお気軽にお声がけください。
フィリピンでの各種調査、事業推進、人事・組織開発を支援します。
事業・サービス内容
■産業・市場動向調査
産業・市場動向、規制調査、競合分析、バリューチェーン分析等
■事業支援(ビジネスコンサルティング)
新規事業立案支援、業務改善、M&A準備・実行支援 等
■リーダーシップ開発、組織開発、組織風土改革
人事評価・報酬制度等の人事制度改革、データアナリティクスによる戦略的人事への変革支援 等
野村総合研究所グループは、1997年に野村総合研究所マニラ支店を設立以来、フィリピンで各種調査、事業支援、人事、組織開発等に関するコンサルテーションを提供しています。事業課題や予算等に応じて各社の要望に沿った支援内容を提案します。お気軽にご相談ください。
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