『できの悪い従業員を解雇できますか?』
今月の事例
<できが悪いことは解雇理由となるか?>
① 会社が従業員に求める合理的なパフォーマンスの水準について通知し、
② 重大な怠慢により未達の従業員に対しては書面でその事実を伝えるとともに(会社としては従業員がこれを認識したことの証拠を取っておく方がよいでしょう)、改善のための時間的猶予を与え、
③ 時間を与えたにもかかわらず、改善が見られない場合、解雇が可能となります。
<マネージャーレベルの場合>
① 管理に関する方策を講じたり、従業員の雇用、転勤、一時帰休や懲戒などに関する権限を有する管理職など、雇用主からの信頼が必要となる立場にいる従業員や
② 雇用主の金銭や資産を日常的に取り扱う立場にいる従業員については、雇用主からの信頼の喪失が解雇事由となります。この点、人事担当ディレクターが人事に関連する専門知識を有していなかった為に会社に誤った情報を伝達し、そのために会社が混乱に陥ったことが頻発した事例で、会社によるこのディレクターの解雇を有効と認められた判例があります。
もっとも、出来の悪さに基づく場合を含み、会社がマネージャーレベルの従業員に対して信頼を失ったからといって、最も重い懲戒処分である解雇が必ずしも認められるとは限りません。個別事案において従業員が信頼を失わせるに至った事由の重大さを含み、解雇の妥当性が問われることとなりますので、会社としてはなぜ信頼感を失うに至ったのかについてきちんと説明できる根拠を準備する必要があります。
特に、懲戒解雇の場合には整理解雇の場合と異なり、退職金の支払いがなされないことや次の職場を見つける際に懲戒解雇された記録が残っていると不利に働くことから、労働者が不服申し立てを行う可能性が低くありませんので、注意が必要でしょう。また、懲戒解雇以外の方法での解雇も可能となる場合もありますので、具体的な事案においては専門家に相談されることをお薦め致します。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等
Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
住所: Don Pablo Building 114 Amorsolo Street, 12290Makati City, MetroManila, Philippines
電話:02-8892-3011(代表)・02-8892-3020(日本語対応)・0917-851-2987
E-mail: [email protected]
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
(桃尾・松尾・難波法律事務所)
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目1番地
麹町ダイヤモンドビル
電話:+81-3-3288-2080
FAX:+81-3-3288-2081
E-mail: [email protected]
E-mail: [email protected]
URL: http://www.mmn-law.gr.jp/