ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  株式譲渡による事業譲受の際のデュー・ディリジェンスのポイント【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第二七回】

株式譲渡による事業譲受の際のデュー・ディリジェンスのポイント【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第二七回】

『株式譲渡による事業譲受の際のデュー・ディリジェンスのポイント』

前回ではフィリピンでの事業譲り受けの手段についてお話させていただいております( に掲載されていますので、見逃された方は是非ご覧ください)。今回はその具体的なポイントについてお話しいたします。


今月の事例

Q.フィリピンで事業を行っていた会社から、株式譲渡によってその事業を譲り受けようと思います。その際、どのような点を調査すればよいですか?

 

<株式譲渡の手順>


    株式譲渡の方法を用いて事業の譲渡を受ける場合には、一般的には以下の手順を踏んで行います。
① 資産の調査(いわゆるデュー・ディリジェンスの実施)
② 譲渡条件の交渉
③ 株式譲渡契約書の締結
④ (必要に応じて)取締役会または株主総会での承認
⑤ 代金支払と株式の譲渡

事業の譲渡を受けるに際して株式譲渡の方式をとる場合、前回も解説しました通り、譲渡対象の法人の資産と債務のすべてを引き継ぐことになりますので、いったいどのような資産と債務をその法人が有しているのかを調べることが最重要課題となります。たとえば、引き継げると思って株式譲渡を受けたにもかかわらず、実はその資産を引き継げないということが後で判明したり、想定していなかった債務や責任が存在することが後で判明した場合には、株式譲渡の当初の目的を達成することができないのみならず、多大な責任を背負うことにもなりかねません。そのため、資産の調査を行う、いわゆるデュー・ディリジェンスの実施は極めて重要です。

 

<デュー・ディリジェンスのポイント>


   それでは、株式を譲り受ける立場から見て、どのような点をデュー・ディリジェンスの過程でチェックするかですが、以下のポイントについては特にチェックが必要でしょう。
・(売主法人の)定款及び付属定款
・株式譲渡を承認する(売主法人の)決議
・監査済み財務書類およびGeneral Information Sheet (GIS)
・税金の支払い状況
・事業許可証
・訴訟の継続の有無
・労働基準及び労働法規のコンプライアンス状況
・事業継続のために重要な契約書の確認
・賃貸借契約書(もしあれば)
・株券及び株主名簿

上記のほかにも重要と思われる事項については売主法人に対して情報の開示を求め、買主は株式を譲り受けるかどうかを決定します。なお、開示を求めても情報が不足していたりすることも考えられますが、そのような場合には株式譲渡契約を締結するに当たり、譲渡代金額で調整したり、売主法人に表明保証をしてもらうなどの方法により手当をすることになります。

 

<株式譲渡契約締結に当たっての社内手続>


株式譲渡契約のような会社にとって重要な契約を締結するに当たっては、単に契約を締結すればよいというものではなく、適切な社内手続を取ることが必要です。以下、売主法人と買主法人のそれぞれで必要な社内手続について解説します。
(1)売主法人
① 取締役会での承認
(2)買主法人
① 買収する会社の行う事業が主目的の範囲内の場合、取締役会での承認
② 上記以外の場合、取締役会での承認に加え、株主総会における発行済株式数の3分の2以上の賛成での承認(日本で特別決議が必要な場合は、株主総会に出席した株主の議決権の3分の2以上での賛成が求められます。日本の場合よりハードルが高いことに注意が必要です)

結論

A.株式譲渡の方法をとるにあたっては、その会社の資産等について売主に開示を受けて詳しく調べたうえで、契約を締結する必要があります。その際には、開示された内容が正しいものであること等について保証してもらうとよいでしょう。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



- - - - - - - - - - - - -

弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
住所: Don Pablo Building 114 Amorsolo Street, 12290Makati City, MetroManila, Philippines
電話:02-8892-3011(代表)・02-8892-3020(日本語対応)・0917-851-2987

E-mail: [email protected]
URL: http://www.quasha-interlaw.com



- - - - - - - - - - -- - - - - - -

(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
(桃尾・松尾・難波法律事務所)
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目1番地
麹町ダイヤモンドビル
電話:+81-3-3288-2080
FAX:+81-3-3288-2081
E-mail: [email protected]
E-mail: [email protected]
URL: http://www.mmn-law.gr.jp/

 

広告

フィリピン法律あらかると 前回のコラム

前回ではフィリピンでの紛争解決についてお話させていただいております。今回は事業の売却の方法についてお話しいたします。

新着コラム

フィリピン法人(株式会社)において増資を考えていますが、どのような手続が必要ですか?
フィリピン人と日本人夫婦の協議離婚についての最高裁判決が出たとのことですが、どのような内容ですか?
フィリピンでの職場におけるハラスメントに関する法律はどのようなものがありますか?
日本で持っている登録商標をフィリピンでも保護したいのですが、どうすればよいですか?
日本では被疑者に警察などが接触せずにいきなり逮捕する場合がありますが(この場合、警察などが裁判所に逮捕状を請求して裁判所が逮捕状を発行し、その逮捕状を執行するという形での逮捕となります)、フィリピンでも日本と同様に被疑者がいきなり逮捕されるということはあるのでしょうか。本稿ではフィリピンでの逮捕の手続について解説させて頂きます。
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you  |   【フィリピン在住者向け】コンシェルジュ&会員制コミュニティ Barong Club
ページトップに戻る