『フィリピン初駐在者が気をつけるべき法律に関するポイント』
前回ではフィリピンでの事業譲り受けのポイントについてお話させていただいております( に掲載されていますので、見逃された方は是非ご覧ください)。今回は4月ということで、新たにフィリピン駐在となった方々向けにお話しいたします。
<フィリピン赴任時に注意するべきこと>
既に何度も海外赴任を経験されている方々は慣れておられると思いますが、赴任地には日本とは異なる法律があり、習慣がありますので、それを認識した上で勤務及び生活をしなければトラブルの元となります。私がよくご相談を受ける事案をベースに、フィリピンにおいて特に注意すべきポイントをご紹介します。
1.初めて会った知らない人とは親しくしてはいけない
割とよくあるケースとして、グリーンベルトなどのショッピングモールで歩いているときに女性から道を聞かれたり、日本のことを聞きたいなどと言われて、お礼としてコーヒーや食事に誘われて、その際に飲み物に睡眠薬などを入れられて寝てしまい、起きたときには一切所持品がなくなって外に放置されている、または、女性に対して乱暴を行ってしまったとして賠償金を請求されるなどという事例が激しく注意喚起されているにもかかわらず、今でもあります。ちなみに、後者の場合、数百万円相当を請求され、払わないと警察を呼ぶなどと脅されることもあります。十分注意してください。
2.恨みを買うようなことをしてはいけない
既にお聞きになっているかもしれませんが、フィリピン人は人前で怒られるなど、恥をかかされるやプライドを傷つけられることを大変嫌います。ですから、会社の現地スタッフやメイドさんなどに対して怒りたいときには特に注意をする必要があります。もし、恨みを買ってしまった場合、身体の危険があるだけでなく、自由に出国できないようにされていること、または、逆に一時帰国中にフィリピンへ再入国できないようにされてしまうことがあります。これは、恨みを持った人が警察に対して虚偽の告訴を行い、その結果、出国禁止(Watch List Orderなど)や再入国禁止(Blacklist Orderなど)の命令が出されてしまうことがあるためです。万一、これの命令が出てしまうとその解消にはかなりの手間を要しますので、十分注意してください。
3.刑事手続きの違い
外国人にとって一番気をつけるべきことは、刑事事件の加害者・被告人にならないことです。逮捕され勾留されるとなりますと、仕事にも行けませんし、周りに大きな心配をかけることになります。ここでは、どのような手順で逮捕に至るのかを説明します。 フィリピンの刑事手続きは日本とかなり異なります。現行犯逮捕の場合は別として、一般的には被害者が検察官宛に告発状を提出し、検察官が加害者に反論を求め、双方を呼び出してヒアリング(予備審問と呼ばれる手続です)を行います。その結果、検察官が立件するのに十分は根拠があると判断した場合は起訴を行います。裁判所が検察官が提出した資料を検討し、犯罪の嫌疑があると判断した場合、逮捕状が発行され、被告人が逮捕されます。なお、検察官は起訴状に保釈が可能な場合には保釈金の金額を推奨しており、これを元に裁判官が逮捕状を発行する際に保釈金の金額についても指定します。ちなみに、一定の重罪(殺人、強盗、強姦など)についてはそもそも保釈が認められませんので、そのような罪を犯したと思われることがないように注意することが必要です。 なお、最後の砦として、大使館の邦人擁護ホットラインの番号(02-551-5786)やジャパンヘルプデスクの番号(02-817-1289)は携帯に登録していつでも連絡ができるようにしておいた方がよいでしょう。
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