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フィリピンでの遺言について【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第三十七回】

『フィリピンでの遺言について』


今月の事例

Q.フィリピンで相続が発生すると大変なため、遺言を準備しておいた方がいいと聞いたのですが、本当ですか?

 

 

<フィリピンでの相続>


    前回の遺産分割協議の説明の際にもご説明いたしましたが、フィリピン国内の資産に関する相続手続についての管轄権はフィリピンにあります。遺言がない場合には、フィリピン法に定める手続にしたがって遺産分割がなされ、有効な遺言がある場合は遺言に従って遺産分割がなされます。ここで有効な遺言とは、遺言がフィリピン国内で作成された場合は、フィリピン法または遺言者の国籍のある国の法律に照らして有効な遺言、フィリピン国外で作成された場合は、遺言作成国、遺言者の居住国または国籍のある国、またフィリピン法のいずれかの法律に照らして有効な遺言を指します。
 フィリピン国内において有効な遺言を執行する場合には、フィリピンの裁判所において遺言の検認手続を行うことが必要となります。もっとも、日本法に基づいて遺言を作成している場合、裁判所での検認手続において手間がかかることが予想されますので、フィリピン国内の資産に関しては、フィリピン法に基づく遺言を作成しておくことが望ましいでしょう。

 

<フィリピン法に基づく遺言の作成方法>


  フィリピン法に基づく遺言の種類としては、日本と同様に自筆遺言と公正証書遺言がありますが、一般的には公正証書遺言が用いられていますので、その作成方法を説明します。公正証書遺言を作成するには、遺言の各ページ上部にページ番号を振るとともに、左側余白に遺言者と証人が署名を行い、遺言の末尾に遺言者と証人の署名が必要となります。なお、証人となることができる者は、フィリピンに住んでいる18歳以上の者とされています。このようにしてできあがった遺言を公証人が公証すれば完成となり、登録等は不要です。遺言においては、相続発生時に遺言を執行する遺言執行者を指定しておくことが一般的であり、たいていの場合は法定相続人の中から指定しますが、弁護士などを指定することも可能です。なお、裁判所が遺言の検認手続において遺言執行者として指定するのはフィリピン居住者に限られますので、法定相続人の中でフィリピン居住者がいない場合には弁護士等を指定する方がよいでしょう。

 

<遺言の検認手続>


相続が発生した場合、遺言を管理していた者等は被相続人の最後の住所地を管轄する地方対審裁判所に遺言書検認の申立を行い、裁判所は検認手続を行い、通常は遺言において遺言執行者として指定されていた者を遺言執行者に選任しますが、先ほど触れましたが遺言執行者はフィリピン居住者であることが必要です。以後、裁判所から選任された遺言執行者が遺言の執行に関する手続を行うことになります。

 なお、遺言者が自ら遺言を保管していた場合、法定相続人や遺言執行者が遺言の存在を知らないという可能性があります。遺言に従った遺産分割がなされるためにも、遺言を作成した場合には、そのありかを親族や日常的に相談している専門家等に知らせておくことが必要です。

結論

A.本当です。遺言も日本の方式ではなく、フィリピン方式で準備した方がよいでしょう。

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等

 

Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
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(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
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フィリピン法律あらかると 前回のコラム

フィリピン国内の資産に関する相続手続についての管轄権はフィリピンにあります。有効な遺言がある場合は遺言に従って遺産分割がなされますが、遺言がない場合には、フィリピン法に定める手続にしたがった遺産分割手続が必要です。

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