『フィリピンの刑事罰とは』
今月の事例
1.フィリピンの刑事罰
フィリピンで裁判で有罪となった場合、どのような刑罰が課されるのでしょうか?日本では死刑、懲役、禁固、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収が付加刑とされています(刑法9条)が、フィリピンでは以下の刑が改正刑法には規定されています。
(1).禁固刑
Reclusion Perpetua(20年と1日から40年の禁固)
Reclusion Tempora(l 12年と1日から20年の禁固)
Prision Mayor(6年と1日から12年)
Prision Correcciona(l 6月と1日から6年)
Arrest Mayor(1月と1日から6月)
Arresto Manor(1日から30日)
フィリピンの改正刑法は、各犯罪につき、その態様や被害の程度に応じて刑期を定めており、定められた刑期に応じて上記の名称で呼ばれています。また、Reclusion Perpetua以外についてはそれぞれ短期、中期、長期の3段階に分けられ、犯罪ごとに法定刑が定められています。例えば、住居侵入罪( Trespass to dwelling)の場合、暴力や脅迫を手段とする場合の法定刑は中期または長期のPrision Correccional、すなわち、中期(2年4ヶ月1日から4年2ヶ月)および長期(4年2ヶ月1日から6年)とされていますが、それ以外の手段による住居侵入の場合の法定刑はArresto Mayor、すなわち、1ヶ月1日から6ヶ月)とされています。裁判官は、法定刑の範囲で、諸事情を検討して具体的な刑を定め、判決でこれを言い渡します。
なお、フィリピンでは法定刑として死刑が存在しますが(国家反逆罪や海賊罪など)、現在は死刑の執行が廃止されており、死刑に相当する場合は30年以上の禁固。(Reclusion Perpetua)が適用されることになっています。
また、特別法違反の場合には終身刑( l i f eimprisonment)が存在します。
(2).罰金
禁固刑に加え、または単独で罰金刑が科されることもありますが、罰金刑の最高額は400万ペソ(国家反逆罪の場合)となっています。
(3)付加刑
上記の禁固及び罰金刑に加えて、公民権停止などが課されることもあります。
2..執行猶予
なお、以下の場合、執行猶予の申し立てを行うことができません。
①言い渡された刑が6年を超える禁固刑の場合
②国家の安全に関する犯罪を犯した場合
③6ヶ月1日以上の禁固及び/又は1000ペソ以上の
罰金の判決をかつて受けている場合
④既に執行猶予を受けている場合
また、判決に控訴した場合、控訴審の判決に対して執行猶予の申し立てを行うことは基本的にはできません。。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。
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