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GCQ下の操業再開に関連する労務の取り扱いについて【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第六十四回】

『GCQ下の操業再開に関連する労務の取り扱いについて』


今月の事例

Q.GCQになりましたので、操業を再開しようと思いますが、どのような点に注意すればよいですか?
 
 
<DOLE勧告第17号>
DOLEは、5月16日付けにて勧告第17号(Labor Advisory No.17)を発行し、事業の再開に当たり雇用の維持のためのガイドラインを発表し、強化されたコミュニティ隔離措置、一般的なコミュニティ隔離措置、その他の防疫のための取り組みが行われている間、雇用主及び被雇用者に対して適用される事項を明らかにしていますので、その内容につき、説明致します。
 

1.衛生基準の遵守
 
雇用主は事業の再開に当たり、各関係機関が発表している諸々の衛生基準に関するガイドラインに従わなければならないこととされています。DTIとDOLEが4月30日に共同で発表した暫定ガイドラインにおいて、具体的な雇用主の義務として、労働者との協議の下、コロナウィルス対策に必要な社内規則を設けること、コロナウィルス対策手段を監視する安全係員を指名すること、ホットライン電話窓口を設置すること等が定められています。また、就業の際には、物理的な距離を取ること、マスクを着用すること、就業場に戻る従業員に対するスクリーニング等、保健衛生面に特化した数々の施策を雇用主に対して求めています。なお、雇用主が故意にこれら衛生基準を遵守しない場合は罰則の適用を受ける可能性があります。
 

2.在宅勤務の推奨
 
実現可能な場合、在宅勤務を行うことが推奨されており、この場合、雇用主は在宅勤務を従業員が行うに際して適切なサポートを行うことが求められています。
 
 
 

3.代替的な勤務計画

 
解雇や事業場の閉鎖を防ぐために、一時的に従業員を他の支店等に異動させること、従業員に従来とは異なる業務を行わせること、就業日の短縮、ジョブローテーション、事業場の一部閉鎖その他事業の特性に応じた実現可能性のある柔軟な調整を行うことが認められています。ただし、これらはあくまで公共の危険が存在する間の一時的なものであるとされており、平時に戻った際には従来の労働条件に戻さなければならないこととされています。なお、このような柔軟な対応を行った際には、雇用主はその内容を管轄のDOLE地方事務所に報告することが求められています。
 
 
 

4.賃金についての別途合意

 
雇用主と被雇用者は、自発的に賃金及び賃金に関連するベネフィットにつき6ヶ月を超えない期間で暫定的な合意をすることが可能です。

上記勧告に加え、DOLEは同日付で勧告第18号を発行し、コロナウィルス対策として必要となる対策(検査、殺菌設備、手指消毒剤、個人防御器具等の提供)にかかる費用は全て雇用主が負担することを命じています。

なお、雇用主としては上記の勧告にあるとおり、なるべく雇用の維持を図るための方策を取ることが推奨されているものの、やむを得ない場合は人員過剰、業績の悪化、事業の停止等を理由とする整理解雇を行うことは可能です。その場合も通常の場合と同様、法律に定められた手続、すなわち、DOLEおよび被解雇者に対する事前の通知を行うとともに、退職金を支払う必要があります。
 
 
 

結論

A.DOLEその他関係省庁より雇用主が行うべき対策が発表されていますので、それに従った対策を行うことが必要となります。法律に従って手続きを経れば、解雇も可能です。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。

 

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