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フィリピンの立法過程【フィリピン法律あらかると第七十三回】

『フィリピンの立法過程』


今月の事例

Q.税制改革法案が話題になっていますが、フィリピンではどのようにして法律ができるのですか?
 
 
今般、税制改革法第2弾が話題となっていますが、フィリピンにおいてどのようにして法律ができるのかについて解説致します。 フィリピンにおいて立法権限を有する機関は国会(Congress)です。国会は、上院(Senate)と下院(House of Representatives)の2院によって構成されており、その構成員である議員は、それぞれ選挙で選出されます(現在の上院議員は24名、下院議員は300名)。

上院、下院とも、法案の審議の方法は同じです。ここでは、下院にまず法案が提出されたと仮定して説明します。まず、法案が議員または下院の法案起案局にて起草され、担当部局に提出されます。提出されますと法案に番号が振られ、第1読会(First Reading)の期日が予定されます。第1読会においては、議案の名称および番号が読み上げられ、適切な委員会での検討に付されます。委員会において議案の内容が検討され、必要な場合には一般からの意見の聞き取りなどが行われます。これらの検討を踏まえ、委員会は議案に必要な修正等を加え、委員会報告を作成します。
 
続いて開催される第2読会では、全議員が参加して、法案の審議が行われ、ここでも必要な修正等がなされ、最終的には議案の採決が行われます。第2読会において可決された議案は、最終案が作成され、第3読会において議決がなされ、可決された場合は法案が上院での検討に回され、同様の手続きを行います(第1読会から第3読会まで)。なお、議案の審議のスピードアップを図るため、両院の議員が同じ法案を提出し、両院で同時に審議がなされることもあります。

両院での議案の審理の結果、途中で修正が入るなどにより最終的に可決された法案が同じ内容でない場合、両院の法案の内容を合致させる必要があります。このような事態が生じた場合、両院協議会が開催されます。両院協議会は、上院下院の議長がそれぞれ議員を任命し、任命された議員が法案のすりあわせのための議論を行い、最終的には法案を一本化します。

一本化された法案について再度両院において採決が行われ、可決された場合、その法案は大統領に回されます。大統領は憲法上、議会において可決された法案に対して拒否権を行使することができますので、提出された法案の全部または一部について拒否権を行使することができ、その場合、法案は再度両院に差し戻されます。
 
両院は必要な修正を加えて再度法案を可決し、大統領の承認を求めることもできますし、両 院の3分の2以上の賛成がある場合、大統領の拒否権を覆すこともできます。こうして、大統領の署名を得た場合、または両院において拒否権を覆す賛成を得た場合、法案は法律として成立します。また、大統領が法案を受け取ってから30日が経過した場合も、法案は法律として成立します。成立した法律は、一般的には官報や一般紙上で公表されます。
 
 

結論

A..一般的には、国会の両院で審議がなされ、可決されたあとに、大統領が署名をすることにより法案が法律として成立します。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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