『フィリピンの立法過程』
今月の事例
上院、下院とも、法案の審議の方法は同じです。ここでは、下院にまず法案が提出されたと仮定して説明します。まず、法案が議員または下院の法案起案局にて起草され、担当部局に提出されます。提出されますと法案に番号が振られ、第1読会(First Reading)の期日が予定されます。第1読会においては、議案の名称および番号が読み上げられ、適切な委員会での検討に付されます。委員会において議案の内容が検討され、必要な場合には一般からの意見の聞き取りなどが行われます。これらの検討を踏まえ、委員会は議案に必要な修正等を加え、委員会報告を作成します。
両院での議案の審理の結果、途中で修正が入るなどにより最終的に可決された法案が同じ内容でない場合、両院の法案の内容を合致させる必要があります。このような事態が生じた場合、両院協議会が開催されます。両院協議会は、上院下院の議長がそれぞれ議員を任命し、任命された議員が法案のすりあわせのための議論を行い、最終的には法案を一本化します。
一本化された法案について再度両院において採決が行われ、可決された場合、その法案は大統領に回されます。大統領は憲法上、議会において可決された法案に対して拒否権を行使することができますので、提出された法案の全部または一部について拒否権を行使することができ、その場合、法案は再度両院に差し戻されます。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。
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