本店の移転【フィリピン法律あらかると第百二十六回】
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『本店の移転』
今月の事例
Q.当社は日本親会社の100%子会社の現地法人ですが、オフィスが手狭になったため、別のLGUに本店を移転しようと思っているのですが、どのような手続が必要でしょうか?
事業の拡大や縮小等により現地法人の本店の場所を移転する必要が生じた場合、どのような手続が必要となるかにつき、今回はご説明させていただきます。
<SECでの手続>
最初に必要となることは、本店の場所は定款に記載する必要があるところ、定款においては本店を置く市(City/Municipality)までが記載されていますので、新たな本店所在地が従来の本店所在地と同じ市内である場合は定款を変更する必要はありませんが、別のLGUに移転する場合は定款を変更する必要があります。定款の変更のためには取締役会での過半数の取締役による賛成決議に加え、株主総会において3分の2以上の株主による賛成決議が必要とされ、その後SECに対して定款の変更の承認を申請する必要があります。なお、以下の手続において変更した定款の提出を求められることもありますので、早めに準備に取りかかる必要があります。
<LGUでの手続>
フィリピン法人が事業を行うためには、本店所在地でバランガイクリアランスおよび営業許可(Mayorʼs/business Permit)を得ることが必要となります。ここで特に重要なのは営業許可になります。というのも、移転前の本店において事業を行っている間は従来の営業許可を維持する必要があり、移転後の本店において事業を始めるにあたっては新たな営業許可を取得している必要があるからです。LGUにより対応が異なって参りますが、新たな本店所在地における営業許可の申請を行うにあたり、従来の営業許可を返納していることに関する証明書の提出を求められることもありますため、その場合には従来の営業許可の返納手続を先立って行う必要があります(なお、この場合、返納した事業許可は従来の期限まで有効となり、移転までの間従来の本店において事業は継続できると一般的にはされております)。そのため、新たな本店所在地となるLGUにおいてどのような申請書類が必要となるかにつき、事前に確認を行い、スムーズな営業の継続ができるかどうかを確認しておくことが重要です。営業許可の他、新たな本店所在地に関して、zoning, firesafety, sanitation, occupancy permitsを取得する必要があります。
<BIRでの手続>
本店の住所を移転する際はLGU内の移転か否かにかかわらず、BIRに対して登録変更の届出を行うことが必要となります。特に、新たなLGUへの移転の場合、BIRの事務所(RDO)も変更となり、新たなRDOより登録証明書を受領する必要がありますので、新旧RDO間の連携が必要となります。
<その他の手続>
上記の他、SSS、PhilHealth、Pag-IBIGへの通知が必要であり、さらに業種によっては必要なライセンスの変更手続きが必要となります。
以上のように、本店の移転に際しては、諸々の準備手続が必要となりますため、なるべく早めに計画を立て準備を行う必要があり、どの時期に移転を行うかにもよりますが、最短でも3ヶ月程度前から手続に取りかかることが望ましいと思っておいた方がよいと思われます。
結論
別のLGUへの移転の場合、本店所在地が定款記載事項ですので定款の変更を行う必要があり、LGUからの事業許可等を取得する必要があります。
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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