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フィリピンでビジネスを始めるには?【フィリピンで役立つ! フィリピン法律あらかると 第二回】

『フィリピンでビジネスを始めるには?』


今月の事例

前回はフィリピンの弁護士や法律事務所についてご紹介させていただきました(もし見逃してしまい、今から見たいという方は、 (ウェブ をご覧ください)。今回からはフィリピンの法律に関連する事項についてご紹介していきたいと思います。

 今回はフィリピンでビジネスを始めるに当たって検討すべきことについてお話ししていきたいと思います。まず覚えておかなければならないことは、外国籍の人間はフィリピン人と同じようにビジネスをできるとは限らないということです。日本でビジネスを行う場合と同じように考えることはできず、まずは、あなたがやろうと思っているビジネスをそもそもフィリピンでできるのか、できるとしてもどのような条件を満たす必要があるのかということを検討する必要があります。

 

 

<参入可能な業種かどうかの確認(ネガティブリストのチェック)>


 日本人がフィリピンで事業をしようとしても、 すべての事業を行えるわけではありません。 というのも、一部の事業についてはフィリピン人のみしか行えなかったり、フィリピン人とパートナーを組んで共同で事業を行うとしても、 外国人の投資割合が決まっている業種もあるからです。 ですから、まずはあなたが行おうとする事業ができるかどうか、できるとして、外国人の投資割合がどれくらいまで許されているのか について検討する必要があります。この点については、1991年外国投資法という法律が規定を置いており、 外国資本による投資が規制又は禁止される業種は、いわゆるネガティブリストとして公表されています。このネガティブリストはたびたび改正されており、2012年10月に改訂された第9次ネガティブリストが最新版となりますが、常に改訂がなされていないかについて、事業開始を検討する 前に確認する必要があるでしょう。
 このネガティブリストには禁止・規制業種がリストAとリストBに分かれて規定されています。リストAは外国人による投資や所有がフィリピンの憲法や特別法により禁止又は規制されているものを列挙しており、リストBは安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗保護や中小企業保護の観点等から規制されているものを列挙しています。実際のネガティブリストは多くの業種を挙げていますが、以下の図表においてはリストAとBに掲げられているもののうち、主要な業種について例示させていただきました。
 
 

リストA(憲法や特別法に基づく規制)

禁止分野 レコーディングを除くマスメディア、専門職(エンジニア、医師、看護師、会計士、弁護士、不動産サービス等)、払込資本金額が250万ドル以下の小売業等
外国資本が20%以下に制限されている分野 ラジオ通信網
外国資本が25%以下に制限されている分野 雇用斡旋
外国資本が30%以下に制限されている分野 広告業
外国資本が40%以下に制限されている分野 私有地の所有、教育機関の所有
外国資本が60%以下に制限されている分野 証券取引委員会の管轄下の投資会社

リストB(安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗保護や中小企業保護の観点等からの規制)


外国資本が40%以下に制限されている分野 銃などの製造、修理、保管、流通 サウナ、マッサージクリニック
払込資本金額が20万米ドル未満(先端技術を有するか、50人以上を直接雇用する場合は10万米ドル未満)の国内市場向け企業


上記のリストに挙げられている業種のうち、禁止分野とされているものについてはフィリピン人と合弁会社を作るなどして行おうとしても無理であり、その他外国資本が制限されている分野については、フィリピン人と合弁会社を作る場合であっても外国人の資本が20ないし40%以下に制限されることになります(一部外国資本が60%まで保有することができる業種もありますが、極めて例外的です)。すなわち、合弁会社におけるマジョリティーをフィリピン資本が占める必要があるということです。例えば、フィリピンで指圧店をやりたいということになれば、リストBの国内市場向け企業に該当しますので、払込資本金額を20万米ドル以上にしない限り、フィリピン人と合弁企業の形態を取る必要があり、その際の日本人の資本は40%以下でなければなりません(このようなフィリピン側60%、日本側40%の出資の企業は6-4法人(ろくよんほうじん)と呼ばれています)。
他方、ネガティブリストに挙がっていない業種については日本人が単独で事業を行うことができる分野ということになります。例えば、国外市場向けのゲーム制作、日本企業向けのビジネスコンサルティング等については日本人・日本企業が単独で事業を行うことができます。

 
 
<フィリピン人との合弁が必要な場合のパートナー選び>


このようにフィリピン国内向けに事業を行おうとする場合で20万米ドルの払込資本金(小売業を行う場合には250万米ドル)を準備できないときには、フィリピン人(企業)と合弁会社を設立して、自らの資本参加を40%以下としなければなりません 1。次回以降フィリピン法人における機関や意思決定の方法についてご説明いたしますが、40%以下の出資しか有さないということは、60%以上を出資したフィリピン人(企業)の意思が優先されるということを意味します。そのため、自らが主導してビジネスを行いたいと希望する場合には、しっかりしたパートナーを選ばなくてはなりません。そうしないと、最初は経営については日本人の言うとおりにすると約束したにもかかわらず、事業がうまくいき始めたら事業を乗っ取られてしまったというような結末にもなりかねません。では、このような事態を防止するにはどうしたらいいのでしょうか?まずは、パートナーの人物、性格やそれまでのビジネスの状況などについての調査を行うことが必要です。なお、信頼できる同業者からの紹介であれば、多少はリスクが軽減されるかもしれません。また、弁護士等に依頼してそのパートナーの業界や銀行からの評判を調査したり、裁判所に係争中の事件がないかなどの調査も行われるとよいでしょう。


 しかしこのような調査を行ったとしても、日本人がマイノリティーの出資者であることは変わりませんから、それでもなお会社の支配権を保持できるような方策を取ることが望ましいでしょう。具体的には、現地パートナーとの間でマネジメント方法に関する契約を締結したり、議決権行使に関する信託を設定したり、現地パートナーの株式に質権を設定するなどの方法が考えられます。もっとも、これらの方法をとる場合には外資規制の潜脱とならないよう留意する必要がありますので、弁護士等の専門家にご相談されることをおすすめいたします。

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1. このように合弁会社を設立する方法ではなく、例えばフランチャイズの形で事業を行う例も存在します。フランチャイズ方式での事業はネガティブリストに挙げられていませんので、日本人・日本企業が単独で行うことが可能と言えます。


 
<優遇措置のチェック>


フィリピンで事業を開始するに当たっては、対象となれば事業開始後の収益が大きく改善される可能性もあるため、フィリピン政府が用意している投資優遇措置を受けることができるかどうかを確認することも重要です。外国資本の呼び込みのために多様な優遇措置が設けられており、主要なものとしては、投資優先計画(IPP)に基づく優遇措置と、経済特区に進出する企業(いわゆるPEZA認定企業)に与えられる優遇措置があります。

投資優先計画に基づく優遇措置
1987年オムニバス投資法に基づいて投資委員会(BOI)が投資優先計画(IPP)を策定しており、IPPにおいて優遇業種として挙げられている分野の事業を行う場合はBOIに投資申請を行い、これに対して許可を受けることにより、税金その他の優遇措置を受けることができます。IPPは毎年見直しがされていますので、常に最新のものをチェックする必要があります。

経済特区に認められた優遇措置(PEZA)
上記優遇策に加えて、経済特区に進出する一定の企業に対する優遇措置も存在します。PEZAとはPhilippine Economic Zone Authority(フィリピン経済区庁)のことであり、1995年特別経済区法に基づき、PEZAの指定する工業団地や地域に進出する一定の業種(輸出製造業やITサービス輸出業など)の企業に対して、税金その他の優遇措置を与えています。この優遇措置を受けるためには、PEZAに申請を行い、登録を受ける必要があります。なお、PEZA登録を受けることのできる工業団地は限定されているため、進出にかかるコストが高いというデメリットも存在しますので、どこに拠点を置くかについては様々な要因を考慮に入れて決定することが必要となります。

次回は、具体的なフィリピンでの法人の設立についてお話ししていきたいと思います。 なお、本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等


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(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
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