2019年12月18日
スイスの経済研究機関「世界経済フォーラム(WEF)」は12月17日、世界各国の政治、社会、経済面での男女格差を総合的に評価した「世界男女格差(ジェンダーギャップ)報告書2019年版」を発表、そのなかで、男女平等度を指数化、ランキングしている。
男女平等度ランキングは1.経済活動への参加・機会、2.教育機会、3.健康・寿命、4.政治参加・関与という4大分野(各分野にはさらに細分化された調査項目がある)で男女平等度を比較、順位付けをおこなっている。2019年の調査対象は153カ国・地域(2018年は149カ国・地域)であった。
2019年世界男女平等度トップ10は、1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、4位スウェーデン、5位ニカラグア、6位ニュージーランド、7位アイルランド、8位スペイン、9位ルアンダ、10位ドイツとなった。下位グループは、148位イラン、149位コンゴ民主共和国、150位シリア、151位パキスタン、152位イラク、最下位の153位がイエメンであった。
東アジア諸国は、フィリピン16位、ラオス43位、シンガポール54位、タイ75位、モンゴル79位、インドネシア85位、ベトナム87位、カンボジア89位、ブルネイ95位、マレーシア104位、中国106位、韓国108位、ミャンマー114位、東ティモール117位、日本121位とランクされている。すなわち、東アジア諸国では、フィリピンが断トツ(アジア全体でも断トツ)、日本が最下位という結果となった。日本は女性議員数が少ないことや女性首相を出していないこともあって、以前から低い評価であったが、2019年は一段と低下、過去最低となった。
上記のように、フィリピンはアジアで断トツの16位にランクされたが、前年から8ランク急落、2006年の調査開始以来、初のトップ10からの転落となった。ちなみに、2006年~2008年が6位、2009年と2010年が9位、2011年と2012年が8位、2013年が5位、2014年が9位、2015年と2016年が7位、2017年が10位、2018年が8位と推移してきている。
2019年のフィリピンの項目別内訳(サブ指数)は、経済活動への参加・機会14位(前年14位)、教育機会37位(前年1位)、健康・寿命41位(前年42位)、政治参加・関与29位(前年13位)。すなわち、教育機会が前年のトップから37位へと急落したことが、総合男女平等度8ランク低下の主要因となっている。
教育に関しては、識字率は女性が男性とほぼ同率で1位、初等教育入学率は女性と男性が同率で83位、中等教育進学率は女性が男性の1.11倍で1位、大学など高等教育進学率は女性が男性の1.34倍で1位となっている。前年は初等教育入学率でも女性1.01倍で1位となっており、当然のことながら教育全体で1位となっていた。今回、初等教育入学率が男女同率(1.00倍)と率では僅かな低下であるのに、順位が1位からいきなり83位というのは解せない感もあるが、この初等教育入学率における平等度の大幅下落が響いている。
健康・寿命に関しては、男児出生に対して女児出生は0.94倍で112位と低い評価であったが、平均余命は女性が男性の1.08倍で1位となっている。また、経済への参加・機会に関しては、女性の労働力参加が男性の0.63倍で121位と低いが、専門・技術職は男性の1.34倍で1位、管理職等は男性の1.11倍で1位となっている。政治参加・関与に関しては、議会における女性比率0.39で51位、女性閣僚比率は0.11で118位となっている(19年12月17日の世界経済フォーラム発表などより)。