2020年1月22日
東京地下鉄株式会社(東京メトロ、本社:東京都台東区)は、1月21日、フィリピンのFEATI University(FEATI大学、所在地:マニラ首都圏マニラ市サンタクルス)へ教材として丸ノ内線02系車両2両を無償譲渡すると発表した。
フィリピンでは、複数の鉄道プロジェクトが進行中であり、今後、鉄道人材の需要が増加することが見込まれている。そのような背景のもとFEATI大学は、私立大学初の鉄道関係学科を新設することとなった。東京メトロは、鉄道訓練センターのプロジェクトを通して、FEATI大学と友好関係を築く中で、同大学から東京メトロが保有する車両などの鉄道関係設備の寄贈依頼があり、またフィリピン運輸省からも協力要請があった。
東京メトロとしては、この寄贈がフィリピンにおいて日本の鉄道システムを理解する人材育成に資することやフィリピン鉄道市場における当社の認知度を高めることが期待できること等の観点から、車両更新時期にあわせて、丸ノ内線02系車両を無償譲渡することとした。譲渡する丸ノ内線02系車両は海を渡り、2020年2月にFEATI大学に設置され教材として活用されることとなる。
FEATI大学は、1946年、航空工学(パイロット、整備士養成)の単科大学として発足。以来、海洋工学(船員養成)、経営学、建築学等の学科を開講、職業訓練を主眼とした教育を行っている。鉄道業界では、The Light Rail Manila Corporation(LRT、マニラ首都圏における軽量高架鉄道運営会社)ほかフィリピンの各事業者に卒業生を輩出している。フィリピン初の鉄道「技術」大学課程を立ち上げる大学となる。
FEATI大学は、「当校はフィリピンにおける航空大学の第1号であるが、1月21日をもってまた新たな第1号、すなわち、キャンパス内に実際の車両を有する最初の大学となった。 学生に対してクラス内の講義だけでなくワークショップや体験型の学習を通してより建設的な学びをしてもらうということは、長年の目標であったが今回それが実現することとなった。今回、キャンパス内に実際の車両を持つことが、より多くの学生にとって鉄道の学位を取りたいという動機づけになるものと信じている。また、それによってフィリピンだけでなくアジア、ヨーロッパ、中東等で鉄道に従事する人材を育成できることと思っている」とコメントした。
なお、東京メトロは、オリエンタルコンサルタンツグローバル及びアルメックVPI(本社:東京都新宿区)と共同で、国際協力機構(JICA)から「フィリピン鉄道訓練センター設立・運営能力強化支援プロジェクト」(2018年2月21日公示)を受注し、業務を開始している。
メガマニラ圏での都市鉄道整備は全般的に遅れており、圏内道路交通量が著しく増加、慢性的な渋滞が経済社会活動を阻害する要因となっている。この問題を解決するため、JICAは、フィリピン政府と協議し、「マニラ首都圏地下鉄事業(フェーズ1)」をはじめとした都市鉄道整備を円借款案件として集中的に支援または形成している。このような背景から、質の高い運営維持管理の人材を持続的に育成する仕組みを早急に構築することが不可欠となっており、フィリピン政府は鉄道人材育成・監督機関としてフィリピン鉄道訓練センターを設立することとした。
本プロジェクトにおいて、東京メトロはこれまで培ってきた都市鉄道運営の経験、またこれまでのフィリピンにおける支援の経緯、さらにベトナムにおける都市鉄道支援に関する経験を活かし、市民に喜ばれる利便性の高い都市鉄道システムの構築に向け、フィリピン鉄道訓練センターに対する支援を行うことで、フィリピンの都市交通機能向上、日比両国の友好関係の強化につながるよう努めていく方針である。今後も引き続きフィリピンにおける鉄道人材の育成への支援を行い、フィリピンの都市交通機能向上、日比両国の友好関係の強化につながるよう努めていく方針である。