2020年12月9日
臨床検査機器・体外診断用医薬品メーカーのアークレイ(本社:京都市中京区)のフィリピン製造子会社であるアークレイ インダストリー社(AII)は、「i-densy Pack UNIVERSAL」を使用した逆転写ポリメラーゼ反応(RT-PCR)新型コロナウイルス検査キットの製造を開始した。
フィリピン投資委員会(BOI)の12月4日発表によると、ルソン島バタンガス州ファーストフィリピン・インダストリアルパーク(FPIP)に立地するAIIは、2020年9月にフィリピン経済区(PEZA)の承認を得て、上記のような新型コロナウイルス検査キットの製造を開始した。検査キットの貯蔵寿命が短いため、現在は、受注生産で顧客のニーズに対応しているが、今後事業拡大に伴い500人を雇用する計画とのことである。この検査キットの価格は1セット1,600ペソ、検査所要時間は90分、検査精度は90~98%と高水準とも発表されている。
新型コロナウイルスの感染拡大防止には、早期発見に向けた検査体制の拡充が不可欠である。今回、フィリピンで生産が開始されたアークレイの遺伝子解析装置「i-densy(アイデンシー)」用検査薬キット「i-densy Pack UNIVERSAL」を用いた新型コロナウイルス検査法 (i-densy Pack UNIVERSAL SARS-CoV-2検出システム)は、2020年6月、新型コロナウイルスのPCR検査における日本の公的医療保険適用の対象となった。
アークレイが2009年より販売している遺伝子解析装置「i-densyシリーズ」は、日本全国の多くの医療機関に導入されており、院内における新型コロナウイルスの迅速なRT-PCR検査を実現。「i-densy IS-5320」は、煩雑で手間のかかるRT-PCR検査を全自動化し、迅速な結果報告のみならず、医療従事者の負担も軽減する。 アークレイ インダストリー社は、このRT-PCR検査用遺伝子解析装置「i-densyシリーズ」の製造も検討している。
アークレイは、フィリピンにおいて、AIIのほか、AIIの姉妹会社であるアークレイ ウエスト(所在地:カビテ州ロサリオのカビテ経済区)、販売・カスタマーサービス担当のアークレイ社(所在地:マニラ首都圏モンテンルパ市アラバン)を有している。
なお、フィリピン政府は先週、RT-PCR検査の価格上限を発表した。民間の検査機関は1検査当り上限4,500ペソ~5,000ペソ、公的検査機関は同3,800ペソとされている。