2020年8月13日
有力銀行のリサール商業銀行(RCBC)が、8月12日、2020年上半期(1月~6月)の事業報告書を発表した。
それによると、2020年上半期の総収入は271億ペソに達した。主力の融資業務などによる純金利収入が20%増、非金利収入は32%増と双方二桁増加した。増収効果に加え総費用が5.5%増の225億ペソにとどまったことなどで、純利益は17%増の31億ペソへと増加した。新型コロナウイルス危機に備え、貸倒引当を3.5倍と大幅に増加させたにもかかわらず二桁増益決算という結果となった。年率換算の自己資本利益率は(ROE)は7.4%、総資本利益率(ROA)は0.9%となった。
RCBCは、財務体質の向上、自己資本拡充も推進してきている。2020年6月末の総資産は7,188億ペソ、自己資本は847億ペソに達している。バーゼルⅢ基準での自己資本比率(CAR)は13.9%で中央銀行の最低基準10%をかなり上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本(CET1)比率も13.0%と良好で、中央銀行の最低基準8.5%を大幅に上回っている。
新型コロナウイルス感染危機への備えを強化するとともに、幅広い層や地域での金融サービスへのアクセス向上、キャッシュレス化対応などを推進しつつある。中小企業向け融資、個人向け融資、クレジットカード債権残高は順調に拡大している。また、クレジットカード発行数は15%増の90万8,000枚超となっている。モバイルATM拡充などにも注力している。
RCBCはフィリピンの有力財閥ユーチェンコグループ傘下の中核企業。ファーストシニアバイスプレジデントの松本康宏氏ら日本人駐在員3名を含む総勢40名超の日本企業部はフィリピン民間商業銀行でも有数の規模である。日系企業800社超と取引を有し、主要工業団地に支店を開設するなど、日系企業に対し充実した金融サービスを提供している。