フィリピンにおける税務調査について
1. フィリピンの税務調査の基礎
昨今、日系企業に対する税務調査が増加しており、その対応に頭を悩まされている方も多いのではないでしょうか。弊社の経験に基づき日本の税務調査と比較しますと、フィリピンの税務調査は指摘事項に対してその根拠が不透明なケースも多く、特に、最初に税務署から知らされた金額に驚くことも多々あるかと思います。一方で、税務職員が納税者から不当な報酬を受取り、当該職員が逮捕される事案がある等、その税務行政実務は改善の方向に向かっているとも思います。
2. 問題になる根本的な原因
税務調査時に大きな問題となる原因の一つに「証憑書類の具備や形式の不備によるものが増えています。例えば、支払経費に対するOfficialReceipt が具備されていないケースや会社側が発行するOfficial Receipt において、その発行方法が誤っている(本来は預り金や借入金の性質の取引にも発行してしまっている)、又は、Official Receipt の記載項目に不備があり本来は免税取引にも関わらず課税取引と認定されるケースもあります。また、申告書の形式が本来のものとは異なる形式のものを使用してしまい、思わぬ指摘を受けることがあります。
日系企業に多い指摘項目の一つにフリンジベネフィット税という項目があります。下記の取引がある場合にはこの税金の対象となる可能性が高いです。個人的な見解ですが、日系企業の取扱いが少ないローカル会計事務所に委任している場合、ほとんどのケースでこの問題が発覚しています。
具体的には下記の通りです。
・コンドミニアムの家賃
・プライベートのレンタカー代
・日本人学校などの教育費用の負担部分
・個人名義のゴルフ等の各種会員費用
・遊行費用 など
また、ペナルティーを含めた追徴税額も大きくなる傾向が高く、かつ、適正に追徴課税の決定を行うことができることから、指摘の対象になりやすいと考えられます。
(コンドミニアムのOfficial Receipt 不備による税務リスク)
・Official Receipt 不備による法人税(支払経費 x 30%)、
・VAT の追徴課税(支払経費 x 12%)
・フリンジベネフィット税の未申告による追徴課税(支払経費 x 50% ÷ 65% x 35%)
・上記のペナルティー(サーチャージ(25%)、利子税(12%)、コンプロマイズ)
3. 対応方法
上記以外にも、駐在員の方が抑えるべき項目は多くあるため、そのすべてを把握することは難しいため、フィリピンでは下記のような流れで把握することが一般的です。
・自社の税務申告や証憑書類が適切に具備されているかを税務弁護士が在籍する会計事務所に依頼(フィリピンでは、
タックスコンプライアンスレビューというサービスが一般的)
・新規取引やビジネスモデルが変化する場合は、その都度、その税務リスクを確認
・フィリピン法人を管理している親会社の財務部や経理部への説明(日比での税務リスク等に関する影響の把握)
・税務弁護士などからローカル経理スタッフの正しい知識の習得とルーティン業務の改善
本資料は、2019年6月1日時点の法令に基づいております。税務・経営の意思決定は、様々な判断材料に基づいて行う必要がありますので、本資料の内容を実行される場合には、
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12回に分けて、フィリピン法人における会計、税務を中心としたコラムを基礎的な内容から実践で使える応用的な内容までを連載させて頂きます。
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