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フィリピンの会計でよくある質問について【知っておくべきフィリピンの会計・税務のポイント 第十回】

フィリピンにおける各シーン別の質問

今回は、最近ご質問をよく受ける項目をいくつかピックアップし、そのポイントをお伝えさせて頂きます。


1. 租税条約適用の判断

Q. フィリピン子会社から親会社に対して、30%の源泉税をフィリピンで納付しロイヤルティを支払いました。親会社はその源泉税について、全額が外国税額控除の対象になると考えていますが、どのような点に注意すればよいでしょうか?


A. ロイヤルティー取引について、日本とフィリピンには租税条約が締結されており、ロイヤルティの限度税率は10%です。そのため、限度税率を超過する部分(ここでは20%)は、外国税額控除の対象にはなりません。そのため、フィリピンでの税務リスクを回避し、かつ、不利益を被らないためには、CORTT Form を使用し、適切な手続きを行う
ことをお勧めします。

 

Q. では、配当の場合はどうでしょうか?


A. 配当の場合もロイヤルティーと同様30%の源泉税をフィリピンにて納付する必要がありますが、一方で租税条約も締結されています。限度税率は同じく10%です。また、配当を受取る日本側では、法人税の対象外(95%)になりますが、フィリピンで納付した源泉税は外国税額控除の対象にはなりません。そのため、CORTT Form を使用し、適切な手続きをすることをお勧めします。あわせて、PEZA等の優遇税制を受けている企業の場合、日比間で資金還流方法のシミュレーションした結果、上記配当による資金還流がロイヤルティーよりも有利になるケースが多いです。

 

2. M&A

Q. 事業拡大のため、フィリピン企業の買収を考えていますが、まずはどのような点に留意すべきでしょうか?


A. 手法として、①株式を買収するケースと②事業資産を買収するケースとに区分することができます。①の場合は対象企業が保有する販路、契約等を短期間で取得する場合において有効ですが、税務リスクが大きく、株主変更手続きに時間を要してしまうことがあります。一方、②の場合は通常、フィリピンに新設法人を設立し進めることがほとんどのため、その分時間がかかりますが、各種のリスクをコントロールすることが可能になります。

 

3. 事業撤退

 

Q. 各国の生産拠点の統合等を理由に、フィリピンから事業撤退することになりました。会社清算時の財務、税務、その他の留意点を教えてください。


A. 事業撤退する場合には、自社の監査済財務諸表をもとに、財務状況をきちんと把握することが重要です。特に、親会社や関連会社から借入金がある場合、そのまま会社清算をした際に、債務免除益に対する課税リスクがあります。また、資本金を送金する際には、フィリピン中央銀行から発行されるBSRD(Bangko Sentral Registration Document)がない場合は、フィリピンの金融機関において外貨購入できないため、事前に情報を整理しすすめていく必要があります。また実際の手続きに入り、ある程度目途が立った段階で日本人駐在員を引き上げるケースがほとんどのため、信頼
のおける事務所に依頼されることをお勧めします。

 

免責事項

* 一般的な株式会社を前提としているため、駐在員事務所や支店などの法人形態の場合は、あてはまらない場合がございます。
*掲載された内容については、記事作成時点の関連法令等に基づき、弊社確認の上掲載していますが、その内容を保証するものではありません。

 

本資料は、2019年6月1日時点の法令に基づいております。税務・経営の意思決定は、様々な判断材料に基づいて行う必要がありますので、本資料の内容を実行される場合には、
専門家等に個別具体的にご相談の上、意思決定ください。本資料をそのまま実行されたことに伴い、直接・間接的な損害を蒙られたとしても、一切の責任を負いかねます。



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12回に分けて、フィリピン法人における会計、税務を中心としたコラムを基礎的な内容から実践で使える応用的な内容までを連載させて頂きます。

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担当:金光

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第11回目はフィリピンにおける税金の「有利・不利の判断」に関するコラムを記載したいと思います。
今回は、最近ご質問をよく受ける項目をいくつかピックアップし、そのポイントをお伝えさせて頂きます。
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