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一時帰国中の駐在員のビザ【フィリピンで役立つ!フィリピン法律あらかると第七十一回】

『一時帰国中の駐在員のビザ』


今月の事例

Q.コミュニティ隔離措置の開始時に駐在員を帰国させましたが、フィリピンに戻れる前にAEPと9(g)ビザが失効しました。今後渡比が可能になった場合、どうすればよいでしょうか?
 
 
昨年3月からのコミュニティ隔離措置を受け、現地法人の駐在員を一時帰国させている会社も多いと存じます。そのときから約1年が経過し、駐在員を戻したい、または交替させたいと考えている会社も多いと思われますが、一時帰国している場合、その間にAEPやビザが失効した方もいらっしゃると思いますので、その際の手続につき、解説させていただきます。

コミュニティ隔離措置までの平常時のAEP(外国人労働許可証)および9(g)ビザの取得の手続きは、フィリピン入国後にフィリピン労働雇用省(DOLE)にAEP取得の申請を行い、AEP取得後に9(g)ビザの申請を行うという方法でした。駐在中にAEPの有効期限が迫ってきた場合、延長の手続を行うこととされていました。AEPが失効した場合も、失効日から45日以内であれば延長の手続きを行うことが可能です。
現在のコミュニティ隔離措置の期間中であってもAEPの更新手続は可能ですが、対象者がフィリピン国内にいる必要がありますので、一時帰国している場合はフィリピンに戻る必要があります。

そこで、現在日本に一時帰国している方がフィリピンに入国できるかが問題となるところ、フィリピン政府が現時点(1月上旬)で発表しているフィリピンに入国が可能な外国人の類型のうち、フィリピン法人の駐在員に該当する可能性があるものとしては、(1)“フィリピン貿易産業省(DTI)、フィリピン経済特区庁(PEZA)、フィリピン運輸省(DTOr)並びにその他のフィリピン官庁(NGA)や政府機関より推薦を受けた外国人”または(2)“有効な特別(非移民)ビザの保有者”のカテゴリーとなります。(1)の場合、政府機関の推薦をもとにフィリピン外務省が許可をすることにより、フィリピンへの入国が可能となります。
もっとも、9(g)ビザを利用している非PEZA法人の場合、かかる推薦は限定的な場合にのみ取得可能なものであることから、現時点でこれを取得してフィリピンに入国することは不可能ではないものの、難しいといわざるを得ません。よって、結論としては、9(g)ビザ保有者がより広範に入国可能となった際に、再度AEPの新規申請を行うことになるのではないかと思われます。

なお、PEZAビザは、上記(2)の特別ビザに該当しますが、フィリピンに入国する際にはPEZAの推薦からフィリピン外務省の許可を得る必要があります。
また、1月上旬時点において、フィリピンは新型コロナウィルスの変異種が確認された国々からフィリピンへの渡航を原則的に禁止しておりますので、フィリピン外務省は日本人には入国許可を行っておりません。今後も状況は変わりますので、政府発表をご確認ください。
 
 

結論

A.フィリピン貿易産業省その他の官庁からの推薦をもとにフィリピン外務省に入国禁止措置からの免除の許可を受け、フィリピンに入国したあとに、AEPの更新または新規取得を行い、ビザを更新することが必要となります。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。



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