ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  知的財産経営 in 東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第3回】

知的財産経営 in 東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第3回】

第3回

中小企業でも良い特許があれば、 大企業と対等以上に戦えるって本当なの?

 

前回のコラムで、ビジネスが対象になる知的財産権の案件では、発生した損害の基礎となる対象がその売り上げ金額になるとお話しました。ドラマ・下町ロケットの第一話で、佃製作所の主力商品であるステラエンジンがナカシマ工業から特許侵害で訴えられ、その損害に対する賠償金として90億円を求められたのも、知的財産の世界では実際にあり得る話です。

 

しかし、第二話では、佃製作所がナカシマ工業の主力製品であるエルマーⅡエンジンに対して、佃製作所の保有している特許権を侵害していると訴え返し、その主張が裁判官に認められます。結局、佃製作所は56億円の損害賠償金をナカシマ工業から得ることとなり、最終的には和解に至りました。ナカシマ工業からしてみれば、自分たちから訴えたはずが、佃製作所からもナカシマ工業の主力製品に対する訴えを起こされてしまい、企業イメージが低下、結果として大損してしまったことになります。現実にもこんなことは起こり得るのでしょうか?

 

大企業同士の特許のクロスライセンス交渉においても、両者の特許力が同じ場合、発生する損害の基礎がその売り上げ金額となるため、売上が大きい企業が不利になります。

 

例えば、大企業であるナカシマ工業のエルマーⅡエンジンの売り上げが年間100億円、中小企業である佃製作所のステラエンジンの売り上げが年間10億円あるとします。その上で両社に同じレベルの特許があった場合、必ず佃製作所が勝ちます。裁判所が両者の損害賠償額を計算する際、同じレベルの特許であれば料率も同じレベル(例えば5%)になる可能性があるからです。

 

ナカシマ工業の売上額 × 裁判所の料率 = 佃製作所が得る損害賠償額 佃製作所の売上額 × 裁判所の料率 = ナカシマ工業が得る損害賠償額

 

料率が同じレベル(例えば5%)であれば、佃製作所が得る損害賠償額は年間5億円で、ナカシマ工業が得る損害賠償額は年間5千万円ということになります。 つまり、売上高が大きい大企業の方が圧倒的に不利なのです。この例えなら、裁判所が両者の金額を差し引いた結果、佃製作所に対して年間4億5千万円を支払うよう、ナカシマ工業に命じることになりますね。 中小企業であっても良い特許があれば、大企業と対等以上に戦うことができることが理解いただけたかと思います。

東南アジアで知的財産のことなら Masuvally and Partners

知的財産所有権などの技術法務を専門に取り扱う、東南アジア、日本、アメリカ、中国の弁護士・弁理士からなる法律事務所。複数国の専門 家が一体となって、 お客様の技術法務に関する各種の業務に対応できる全く新しい形の事務所です。お客様の要望に応じたキメの細かいサービスの提供を目指しております。アジアで活躍されている日系企業・ベンチャー企業の方々が必要とされている技術法務サービスを低価格、高品質で提供いたします。

Masuvally and Partners
住所: Joya North Tower, 16th fl. Rockwell Center, Makati City 1200, Philippines
メールアドレス : [email protected]
WEB: www.masuvalley.com

広告

知的財産経営 in 東南アジア 前回のコラム

特許侵害事件で賠償金90億円って本当なの? 皆さん、「下町ロケット」というドラマはもうご覧になりましたか? 本コラムでは、このドラマのシーンを織り交ぜながら、東南アジア域内で中小企業でも起こり得る知的財産権問題を紹介したいと思います。

新着コラム

東南アジアの今後の知的財産権制度は今後どうなるのですか。東南アジアは、知的財産権制度そのものを統合しようと話し合いをずっとしてきました。考えてみてください。もし、1つの手続で東南アジアのすべてで会社や製品の名前が登録できたり、ハイテク技術の特許が取得できたりしたら、楽で良いですよね!
日本の高い技術力はそう簡単には真似できません!今回もトレードシークレットについて話したいと思います。東南アジアで日本企業が知的財産権問題で深刻な被害を受けているのが、トレードシークレットです。トレードシークレットとは、会社の重要な秘密の情報を他の会社へ漏らしてしまうことを言います。
ここだけのはなしは、いけませんよ!今回もトレードシークレットについて話したいと思います。トレードシークレットとは、たとえば、会社の従業員が利益を得るために、いま働いている会社の新製品の設計情報をこっそり漏らしてしまうことなど、転職が多く現地人同士の情報交換が頻繁な東南アジアでは良く起こっています。
中国の会社が日本の新幹線をそっくり真似て良いの?今回から「トレードシークレット」について、複数回に分けてお話したいと思います。みなさん、トレードシークレットって聞いたことありますか? なかなか聞かないワードですよね。しかし、東南アジアの知的財産権問題で日本企業が遭遇する被害の多くはトレードシークレット違反なのです。
帝国重工への特許譲渡って何ですか?ドラマの第二話で、帝国重工の開発部長が佃社長に「佃製作所の特許を20億円で売却のうえ、譲渡してくれないか」と頼んでいたシーンがありました。他社の特許を買ったり、自社の特許を売ったりすることを「特許売買」と呼びます。
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you  |   【フィリピン在住者向け】コンシェルジュ&会員制コミュニティ Barong Club
ページトップに戻る