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知的財産経営 in 東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第8回】

第8回

帝国重工への特許譲渡って何ですか?

 

TBS 系列で放映され、2015年の民放ドラマの最高視聴率を記録した「下町ロケット」。本コラムでは、このドラマのシーンを織り交ぜながら、東南アジア域内で中小企業でも起こり得る知的財産権問題を紹介します。

 

ドラマの第二話で、帝国重工の開発部長が佃社長に「佃製作所の特許を20億円で売却のうえ、譲渡してくれないか」と頼んでいたシーンがありました。他社の特許を買ったり、自社の特許を売ったりすることを「特許売買」と呼びます。権利を譲渡(売却)する特許売買は、今後、日本企業の間でも増えてきています。

 

ところで、特許庁の年報によると、日本国内での特許出願数は2001年の約44万件をピークに、14年には33万件弱へと約25%減少しています。また、科学技術・学術政策研究所の集計によると、日本の研究者が発表した論文の数も04年をピークに12年には5%減少。世界全体での特許出願と論文発表の数は、それぞれ1.7倍、1.5倍に増加しているので、日本の研究開発に投資する体力は、「失われた20年」の中で急速に低下していることが分かります。

 

このような日本の状況下で、日本企業のマーケットが多国へ広がっているトレンドを考慮すると、日本企業の特許戦略も変化せざるを得なくなります。今後は、外国出願の増加に伴う特許費用の増大に対処するため、企業が出願する発明を厳選したり、特許の売買が増えて行くのではないかと考えています。

 

具体的には、佃製作所のような中小企業の保有する東南アジアの特許を、帝国重工のような大企業が欲しがるケースは増えていくだろうと予想しています。実際に、欧米ではこのような現象が2010年以降、どんどん増加しつつあります。そのため、中小企業の特許の資産価値も、今後は益々評価されていく傾向が強まるのではないかと思います。

 

次回からは、日本企業がすぐに実行できる、タイでの知的財産権対策についてお話します。

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知的財産経営 in 東南アジア 前回のコラム

技術は素晴らしいが、それと特許の良し悪しは別問題なんです【 Part 3 】今回も前回に続き、ドラマの第二話で佃社長が初めて神谷弁護士と面談した際、神谷弁護士が「佃製作所の特許が良くなかった」と指摘したシーンについてお話したいと思います。

新着コラム

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