ブログ
食べる
経済ニュース
コラム
求人情報

HOME >  フィリピンのコラム  >  組織文化としてのサステナビリティ【NRI 野村総合研究所 フィリピンビジネス通信 第42回】

組織文化としてのサステナビリティ【NRI 野村総合研究所 フィリピンビジネス通信 第42回】

フィリピンビジネス通信 ~コンサルの視点から~

「サステナブルなビジネス」を実現するために 

野村総合研究所(NRI)マニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピン市場・業界調査や参入戦略、人材マネジメント、業務改革のコンサルティング、ITソリューションを提供しています。昨今注目が集まる「サステナビリティ」の社会的側面について、今号からはHRセクターに所属するJuan Royが解説します。

 

 

 

Diane Cordova
Juan Roy 野村総合研究所(NRI)マニラ支店プリンシパルコンサルタント・組織開発コンサルティングセクターヘッド。人事、組織開発、業績管理、品質管理の領域で30年以上の経験を有する。フィリピン人材開発協会(Philippine Society for Talent Development, PSTD)元会長。企業文化とサステナビリティを注力テーマとして、企業変革・人事変革を支援している。

 

 

前号までは、ESGの社会的側面の様々な要素(人権デューデリジェンス、ジェンダー・ダイバーシティとインクルージョン、ウェルビーイング)について、その重要性と企業における先進的な取り組みについて解説してきました。今号では、サステナビリティという考え方を組織文化として定着させることの重要性と、その実践的なステップについて解説します。

 

 

サステナビリティと組織文化

 

組織文化は、組織で働く人の考え方や行動の集合体です。サステナビリティ経営を真の意味で実現するには、組織文化の変革、すなわち組織で働く一人ひとりの意識や行動の変革が不可欠です。従業員一人ひとりが、サステナビリティの提唱者である状態、つまり組織運営や事業活動において「サステナブルかどうか」が判断軸・行動基準の要となる次元にまで、サステナビリティの意識を高められるかが、企業にとって課題でもあり機会でもあると考えます。

サステナビリティを組織文化として定着させるには、具体的にはどのような取り組みが必要なのでしょうか。今号では、”6E Sustainability Culture Integration”(サステナビリティ文化統合)のアプローチについてご紹介します。これは、NRIマニラがサステナビリティや組織開発領域における数々の企業支援実績をもとに、具体的な取り組みとして体系化したものです。

 

サステナビリティ文化統合アプローチ

 

変革のステージごとの具体的な取り組みについては、下表をご覧ください。

 

 

 

 

変革の推進者

 

組織におけるどのような変革プロセスにおいても、変革の推進者となるリーダーが、自身の役割を十分に理解し、役割を果たすことが非常に重要です。

NRIマニラのプロジェクト支援実績のひとつに、フィリピンのインフラ大手企業であるメトロ・パシフィック・トールウェイズ・コーポレーション(MPTC)で2021年に行なった組織文化変革プロジェクトがあります。このプロジェクトには、グループCEOや各子会社の社長、Cレベルの経営幹部だけでなく中間管理職まで、重要なポジションを占めるリーダーが参画しました。リーダーはチーム一丸となって、サステナビリティを組織文化として定着させるためのビジョン構築や、戦略策定を担いました。この議論プロセスへの参画は、リーダー全員の当事者意識、すなわち自分たち一人ひとりが組織の変革の推進者であるという意識を持つことに寄与しました。このリーダーの当事者意識が、サステナビリティと組織文化の変革を進めるにあたって、組織メンバーに対し説得力のあるメッセージを示すために必要不可欠な要素です。

サステナビリティを組織に文化として根付かせるのは簡単なことではありません。体系化されたアプローチとコミットメントを持ったリーダーシップ・チームを構成することが、変革を成功に導くカギとなります。

 

 

本連載は「サステナビリティの社会的側面」について数回にわけて解説いたします。

 

 

当該レポートは、LinkedInでも発信していますので(LinkedIn でNRI Manilaと検索)、是非ご覧ください。

 

 

●本リサーチおよびコンサルに関するお問合せはこちらへ

Nomura Research Institute Singapore Pte. Ltd Manila Branch

住所:26th Fl., Yuchengco Tower, RCBC Plaza 6819 Ayala cor Sen. Gil J. Puyat Avenues, 1200 Makati

メールアドレス:
[email protected]
[email protected]

 

野村総合研究所シンガポールマニラ支店の企業情報はこちらから。

 

広告

フィリピンビジネス通信 前回のコラム

野村総合研究所(NRI)マニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピン市場・業界調査や参入戦略、人材マネジメント、業務改革のコンサルティング、ITソリューションを提供しています。前号に引き続き、コロナ禍で注目が集まる「サステナビリティ」の社会的側面を、HRセクターに所属するDiane Cordova が解説します。

新着コラム

激甚化する自然災害(頻発する豪雨や台風等)や更新される過去最高気温等にみられる通り、気候変動による影響が生じ始めています。こうした気候変動による影響を最小化させるためにも、2015年のCOP21パリ協定以降、温室効果ガス排出を抑制し気温上昇の進行を緩やかにする「緩和策」(再生可能エネルギー設備導入等)と、社会経済の在り方を気候変動に適応させていく「適応策」(気候変動の影響による被害を回避・軽減させる防災・減災技術の導入等)が各国で進められています。最終回である今回の記事では、フィリピンにおける気候変動適応策の取組みについて解説します。
日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議で発表された「アジアゼロエミッション共同体構想」と「日ASEAN次世代自動車産業共創イニシアティブ」の両方に関わるBESS(Battery Energy Storage System)関連ビジネスは、フィリピンにおいても需要側(EVや系統用蓄電池、スマートグリッド等)と供給側(ニッケルの生産)の両面から成長する見込みです。
2023年に「ASEAN Matters: Epicentrum of Growth」がASEANの標語として掲げられている通り、近年ASEANの経済・社会は著しく成長しています。また、デジタル技術の革新とコロナ禍による生活様式の変化を機に、Grab 等に代表されるようにデジタル技術を活用した新しいデジタルインフラも普及し、ASEANにおける生活・事業環境が大きく変化しています。
昨年2023年は日ASEANの経済友好協力50周年の記念すべき年として、将来を見据えた新しい時代の日ASEANの経済共創の方向性を示す指針が多く示された年でした。昨年8月には日ASEAN経済大臣会合にて「日ASEAN経済共創ビジョン」が、12月には日ASEAN特別首脳会議にて「日ASEAN友好協力に関する共同ビジョンステートメント」が発表されました。
野村総合研究所(NRI)シンガポールマニラ支店では、フィリピン市場・文化に精通したコンサルタントが、フィリピンの各業界調査や事業戦略策定支援、組織・人財マネジメント等に関するコンサルテーションを行っています。今号では、フィリピンの2024年経済成長見込み、そして2040年にかけての長期的展望について解説します。
フィリピン不動産賃貸ポータルサイト  |   フィリピン求人 ジョブプライマー  |   BERENTA:Find the condo that suite you  |   【フィリピン在住者向け】コンシェルジュ&会員制コミュニティ Barong Club
ページトップに戻る