『フィリピンの産休制度』
今月の事例
1.フィリピンの産休制度
本年3月から産休に関する新しい法律(通称:105日拡大産休法(共和国法第11210号))が施行されました。
まず、主な改正点を挙げさせて頂きます。
・従来は帝王切開の場合60日、自然分娩の場合78日間であった産休期間が出産方法に関わらず105日間に延長されました。なお、シングルマザーの場合は、更に15日間が追加され、合計120日間の産休期間が認められています。
・従来は平均日当の日数分の支給であった産休手当が、対象となる従業員の給与の月額平均の満額をベースに支給されることになりました。雇用主は従業員から産休取得の申請があった場合、30日以内に産休手当を支払う必要があります。
・死産または緊急に堕胎が必要となった場合も60日の産休が認められることが明文化されました。
・従業員が申請をした場合、追加で30日間の無給の産休を取ることが可能となりました。
・従来は手当の支給される産休は4回目の出産までに限られていましたが、新法においては回数の制限なく産休を取ることが可能となりました。
・女性従業員は自らの産休のうち最高7日間を子の父親(婚姻関係にあるかどうかを問いません)に取得させることができます。
具体的な申請手順ですが、妊娠が判明した従業員は、その段階で妊娠した旨及び出産予定日を雇用主に通知し、雇用主はその旨をSSSに報告します。その後、具体的な産休開始日を決めましたら、産休申請を雇用主に提出し、雇用主は申請から30日以内に産休手当を支給します。なお、法律上、出産後最低60日は産休期間とすることが定められていますので、(有給で)産休に入ることができるのは最も早くて出産予定日の45日前からということになります。また、追加の無給の30日間の産休を取得するためには、当初予定されていた産休期間終了日の45日前までに雇用主に対して書面にて通知されることが必要です。
2..日本との違い
日本の法律では産休は出産6週前、出産後8週間とされていますが、フィリピンの場合、一定程度従業員の側で産休期間の開始日を選択することが可能です。また、支給額も日本の場合は従来の給与の3分の2であるのに対し、フィリピンにおいては満額が支給されるという点も異なるといえます。もっとも、日本の場合、産休後に育児休暇を取得することが可能ですが、フィリピンでは育児休暇は法律上の権利としては認められていません。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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