『コミュニティ隔離措置と不可抗力事由』
今月の事例
<不可抗力の発生により債務不履行が発生した場合>
まず、債権債務を発生させるもととなった契約書に不可抗力が生じた場合についての条項がある場合は、その条項が定める事項が法律や、公序良俗に反するということがない限り、その条項に従って債務不履行責任が生じるかどうかを判断すれば足りるということになります。では、契約書の中に不可抗力が発生した場合についての規定がない場合はどのように判断すればよいでしょうか。この点について、フィリピンにおいては、不可抗力条項が契約書において明確に規定されていないとしても、民法第1174条が「予見できない事象または予見できたとしても回避不能な事象につき、何人たりとも責任を負わないものとする」と規定していますので、予見できない不可抗力事由が発生して債務の履行が不可能な場合、債務を履行できなかった当事者が責任を問われることはありません。
<コミュニティ隔離措置は不可抗力事由となるか>
また、工事請負契約以外の場合であっても、例えば、商品の売買契約において、コミュニティ隔離措置により商品の生産ができなかった、または、輸送手段が止まったという事情が生じて納品ができなかった場合、納品遅延についての責任を逃れることは可能であると考えます。同様に、商品の買主がコミュニティ隔離措置により銀行が閉鎖となったため期限までの支払いができなかった場合も、支払い遅延についての責任を逃れることは可能であると考えます。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
弊事務所は、下記のフィリピンの法律事務所と提携しており、フィリピン進出中の日本企業及び在留邦人の方々に日本語での法律面でのサポートを提供させていただいております。取扱業務:会社設立、企業法務、倒産、労務問題、税務問題、一般民事、相続等
Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco
住所: Don Pablo Building 114 Amorsolo Street, 12290Makati City, MetroManila, Philippines
電話:02-8892-3011(代表)・02-8892-3020(日本語対応)・0917-851-2987
E-mail: [email protected]
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
(左) 弁護士 上村真一郎
(右) 弁護士 鳥養雅夫
(桃尾・松尾・難波法律事務所)
〒102-0083
東京都千代田区麹町4丁目1番地
麹町ダイヤモンドビル
電話:+81-3-3288-2080
FAX:+81-3-3288-2081
E-mail: [email protected]
E-mail: [email protected]
URL: http://www.mmn-law.gr.jp/