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フィリピンの土地の相続【フィリピン法律あらかると第百一回】

『フィリピンの土地の相続』


今月の事例

Q.フィリピン人の夫名義の土 地があるのですが、もし相続が発生した場合、フィリピン国籍を有する子供たちだけでなく、日本人の私も相続が可能でしょうか?
 
 
外国人はフィリピンの土地を所有することはできません。しかし、外国人が相続によりフィリピンの土地を所有することが例外的に可能となる場合があります。もっとも、その場合も制約はありますので、フィリピンの相続と併せて解説致します。

<フィリピンにおける相続>

以下ではフィリピン人夫婦に2名の子供がいる場合で、父親が亡くなった場合を想定して説明させて頂きます。

もし、父親が遺言書を作成していない場合(intastateと言います)、相続人間において別途の合意を行わなかったとしますと、フィリピンの民法に従った法定相続を行うこととなります。父親が亡くなったときに、配偶者及び2人の子供が存在した場合、フィリピンの民法によりますと、生存している配偶者は子供達と同じ割合の法定相続分があることとされています(民法第996条)。したがって、この場合、配偶者と子供たち2人はそれぞれ3分の1の遺産を相続することになります。なお、遺言書を作成していない場合であっても、法定相続人の間で上記の割合によらない遺産分割を行うことに合意した場合、その合意に従って遺産分割を行うことは可能です。例えば、上記の場合で、遺産を子供たちが2分の1ずつ相続することも可能です(なお、法定相続分とは異なる遺産分割を行う場合、追加で贈与税がかかる可能性があることには注意が必要です)。

次に父親が遺言書を作成していた場合(testamentaryと言います)ですが、この場合であっても父親は自由にその資産の 相続人を指定することは許されていません。というのも、法定相続人には日本と同様に遺留分が存在しますので、これを侵害するような遺言はその限度において無効となるからです。したがって、財産全部を慈善団体に寄付する、といった遺言書は法定相続人の遺留分を侵害する部分については無効となります。本設問のように配偶者と2名の子供がいる場合、それぞれが4分の1ずつの遺留分を有することになっていますので、慈善団体に寄付することのできる遺産は遺留分の合計である4分の3を除いた残りの4分の1ということになります。

<日本人妻が相続人となる場合>

外国人はフィリピンの土地を所有することは原則的にできませんが、唯一相続により土地を所有することは可能です。但し、法定相続分以上の持分を取得することはできません。例えば、仮にフィリピン人の夫がその所有する全ての土地を日本人妻に相続させるという遺言書を作成していた場合であっても、また、遺言を作成していない場合であって、法定相続人間の協議により妻が土地を相続するとの合意に至ったとしても、日本人妻が法定相続分(本設問の場合は3分の1)を超える持分を取得することはできません。

なお、土地の持分を相続した日本人妻はその後自分の持分を処分することは可能ですが、外国人に対してその持分を譲渡することはできません。 
 
 

結論

A.日本のパスポートを利用して出国する場合、出国手数料の免除を受けるためには移民局命令(BI Order)を所持することが必要となりました。

 

本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha, Ancheta, Peña & Nolasco法律事務所の監修を受けております。



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