2020年1月29日
先頃、フィリピン自動車工業会(CAMPI)が、「2019年のフィリピン国内四輪車新車販売台数(CAMPIとトラック工業会加盟企業分:以下工業会加盟企業分と記す)は、前年比3.5%増の36万9,941台へと小幅増加した」と発表した。車種別内訳は、乗用車が同0.2%増の10万9,197台(構成比29.5%)、商用車が同5%増の26万0,744台(構成比70.5%)であった。
この36万9,941台という2019年販売台数や前年比などは、工業会加盟企業ベースの数値であり、CAMPIを脱退している韓国系の現代アジア・リソース(HARI)など自動車輸入販売企業協会(AVID)単独加盟企業分などを含まないベースである。
AVIDは、その加盟企業の2019年の販売台数は前年比0.5%減の8万7,984台にとどまったと発表した。工業会加盟企業、AVID加盟企業の販売台数から重複加盟分(フォードなど)を調整した2019年のフィリピン新車総販売台数は前年比2.4%増の約41万1,200台となる。ただし、一部の中国系企業は、工業会にもAVIDにも加盟しておらず、それらの未加盟企業を含めると、総販売台数は41万7,000台を上回っているとの見方もある。
2018年は車両税改定(大半の車種が増税)にくわえ、インフレ率上昇による実質購買力の低下、金利上昇の影響などで前年比15%減という結果となった。2019年は車両税改定の影響が薄れインフレ率も急低下したことから回復傾向となったが、当初目標の10%増には及ばない小幅増にとどまった。
2019年のブランド別総販売首位は、トヨタの16万2,011台(シェア39.4%)で依然断トツであった。そして、第2位が三菱自動車の6万5,648台(シェア16.0%)、第3位が日産自動車の4万2,694台(シェア10.4%)、第4位が現代自動車の3万3,763台(シェア8.2%)、第5位がスズキの2万3,919台(シェア5.8%)、第6位がフォードの2万1,900台(シェア5.3%)、第7位がホンダの2万0,338台(シェア4.9%)、第8位がいすゞの1万3,971台(シェア3.4%)と続く。
業界全体の新車販売台数が小幅増加にとどまるなかで、日産自動車の販売台数が22.2%増と連続大幅増加(2018年は39.8%増)、シェアも2017年5.3%、2018年8.7%、そして2019年10.4%と躍進、ついに第3位にまで上昇していることが注目される。日産自動車のフィリピンでのシェアは2012年には3%台まで低下したが、2013年末の日産フィリピン(NPI、本社:マニラ首都圏)設立など販売基盤再強化策が奏功しているといえよう。
また、スズキの2019年販売台数も21.2%増と大幅増加、シェアも2017年4.1%、2018年4.9%、2019年5.8%と上昇基調を辿り、第5位となったことも注目される。スズキ車の省エネ性、割安感、経済的パフォーマンスなどに対する評価が高まっていることと、新型車積極投入、販売網拡充の相乗効果といえよう。2019年で特に好調であったのは、7人乗り小型MVP「エルティガ」であり販売台数の34%を占めた。