2020年12月17日
日本政府観光局(JNTO)は12月16日、2020年11月の訪日外客数推計値を発表した。それによると、11月の訪日外客数は前年同月比97.7%減の5万6,700人で、14カ月連続で前年同月を下回ったものの、実数としては前月から増加した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、日本における検疫強化や査証の無効化等の措置が引き続き取られていること、また、多くの国で引き続き海外渡航制限の措置が取られていること等が、ビジットジャパン重点22市場の多くで訪日外客数が対前年同月比99%を超える減少となっている。しかし、一部の国と日本の間で「ビジネストラック」や「レジデンストラック」の運用が開始され、さらに、10月1日以降は、一定条件下のビジネス等に限り、許可数は限定的ながら、すべての国・地域からの新規入国が可能となったこと、11月1日以降、日本政府により中国、ベトナム、韓国等11の国・地域に対する感染症危険情報がレベル2に引き下げられるなどの緩和措置がとられていることもあり、訪日外客数の実数は徐々に増加している。
11月に訪日外客数の多かった市場は、中国(1万8,100人)、ベトナム(1万4,700人)、インドネシア(3,400人)、韓国(2,800人)、フィリピン(1,700人)、台湾(1,200人)など。
フィリピンは前年同月比97.4%減の1,700人であった。COVID-19の拡大により、日本政府による上陸拒否、14日間の隔離・PCR検査受診等、査証の効力停止等の対象となっている。10月21日より、フィリピン人の自由な海外渡航が許可されたが、自国民の日本からの入国については、14日間の隔離と入国時のPCR検査の受診が義務付けられている。日本への直行便は、12月も引き続き大幅な運休・減便となっている。
2020年年初11カ月の累計では、前年同期比86.2%減の405万7,200人。上位5市場は、1.中国(88.2%減の105万0,800人)、2.台湾(84.7%減の69万3,600人)、3.韓国(90.9%減の48万5,100人)、4.香港(83.1%減の34万5,800人)、5.タイ(81.0%減の21万9,100人)。
フィリピンは前年同期比79.9%減の10万6,800人で、ASEAN加盟国ではタイ、ベトナムに次ぐ3位。
COVID-19の拡大により、依然として世界的に旅行需要が停滞している状況にあるが、他方で日本では入国規制の緩和が進められていることも踏まえて、JNTOは、感染症の推移とともに今後の市場動向を注視していく必要があるとしている。