2019年5月28日
総資産3兆ペソ超、66%増益、ROE11.8%
5月27日付けビジネスワールド紙(BW紙)が、フィリピンの商業銀行レポート2019年第1四半期版を発表した(先頃の中央銀行発表とはベースが異なる)。
BWによるとフィリピンの商業銀行46行(外資系含む)全体の総資産は、2019年3月末時点で前年同期末比10.9%増の16兆6,600億ペソに達した。前年同期末比伸び率は、2018年第4四半期の11.4%、前年同期の11%からはやや鈍化した。融資残高は前年同期末比12.4%増の9兆0,600億ペソに達した。 リスク加味の自己資本比率(CAR)は18.8%で前年同期の18.2%から向上した。一方、不良債権比率(NPL)は1.53%と依然低水準、不良債権貸倒れ引当率は117.7%と依然良好な水準である。今第四半期の株主資本利益率(ROE)は年率換算8.1%で、前年同期の5.1%から改善した。
以上はBW紙の集計であるが、フィリピン証券取引所(PSE)上場の民間銀行の2019年第1四半期の(1月~3月)決算発表、第1四半期事業報告書提出が出揃った。事業報告書による上位行の動向は以下のとおり。
資産規模では、BDOユニバンク(BDO)が総資産(3兆0,141億ペソ)、純資産(3,384億ペソ)、受け入れ預金残高(2兆3,614億ペソ)、融資残高(2兆0,430億ペソ)いずれもトップとなっている。総資産で2位のメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)も2兆2千億ペソ超、3位のバンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)も2兆ペソを突破した。バーゼル3基準のリスク加味自己資本比率(CAR)では、セキュリティバンクが19%と非常に高水準であることが目立つ。
今第1四半期の帰属純利益はBDOが66.1%増の97億2,000万ペソと大幅増加、2位のメトロバンクの67億5,000万ペソ、3位のBPIの67億2,000万ペソに大差をつけた。増益率でもBDOが断トツ、2位のフィリピン ナショナル バンク(PNB)の30%、3位のチャイナバンクの24.1%に大差をつけた。年率換算の自己資本利益率(ROE)でも、大幅増益であったBDOが11.8%となり、首位常連であったBPIの10.7%を上回った。
これまでも資産規模で首位であったBDOが、帰属純利益、ROEでも1位となったことが注目される。財務内容の良好さではセキュリティバンク、BPIなどが目立っている。
フィリピン民間上位銀行の2019年3月末の資産等の状況(単位:億ペソ)
銀行名 | 総資産 | 純資産 | 自己資本比率(CAR) | 預金残高 | 融資残高 |
BDOユニバンク | 30,141 | 3,384 | 14.0% | 23,614 | 20,430 |
メトロバンク | 22,535 | 2,973 | 17.4% | 15,810 | 13,598 |
BPI | 20,846 | 2,603 | 16.6% | 16,083 | 13,490 |
PNB | 10,264 | 1,329 | 14.0% | 7,448 | 5,889 |
チャイナバンク | 8,929 | 902 | 13.8% | 7,202 | 5,076 |
セキュリティバンク | 7,634 | 1,113 | 19.0% | 4,611 | 4,118 |
ユニオンバンク | 7,045 | 910 | 14.3% | 4,255 | 3,150 |
RCBC | 6,647 | 833 | 16.2% | 4,160 | 4,040 |
(出所:各銀行の事業報告書などより作成)
フィリピン民間上位銀行の2019年第1四半期の収益動向(単位:億ペソ)
銀行名 | 純金利収入 | 伸率 | 帰属純利益 | 伸率 | ROE |
BDOユニバンク | 277.0 | 25.0% | 97.6 |
66.1% | 11.8% |
メトロバンク | 181.0 | 12.4% | 67.5 | 15.3% | 9.5% |
BPI | 160.5 | 28.8% | 67.2 | 7.6% | 10.7% |
PNB | 70.6 | 10.0% | 18.8 | 30.0% | 5.9% |
チャイナバンク | 59.3 | 12.0% | 18.6 | 24.1% | 8.4% |
セキュリティバンク | 57.2 | 13.8% | 23.8 | 1.5% | 8.6% |
ユニオンバンク | 46.5 | 0.8% | 21.6 | -26.3% | 9.6% |
RCBC | 52.9 | 9.8% | 13.1 | 15.2% | 6.4% |
(出所:各銀行の事業報告書などより作成)