2020年8月7日
在フィリピン日本国大使館は、8月6日、「日本の緊急無償資金協力によるアビガンがフィリピンに到着した」と発表した。発表の概要は以下のとおり。
・新型コロナウイルス感染症の沈静化に向けて治療薬の開発は極めて重要である。アビガンは、新型コロナウイルス感染症への有効性は未確立であるが、ウイルスの増殖を防ぐ薬として、海外の多くの国から関心が寄せられており、日本は、各国からの要請を踏まえ、希望する国々と協力しながら、新型コロナウイルス感染症に係るアビガンの臨床研究を拡大する考えである。
・こうした観点から、日本は、新型コロナウイルス感染症の感染者が発生している国々に対する支援を実施するための緊急無償資金協力を行うことを決定した。フィリピン政府に対しては、100人分のアビガンを無償で供与することを決定し、今般、このアビガンがフィリピンに到着した。
・アビガンには催奇形性という副作用があることから、それを十分に認識した上で医学的に適正に処方・使用されることが重要であり、これにより、アビガンの臨床研究の前進に寄与することが期待される。
なお、アビガン(一般名:ファビピラビル)は、富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬である。日本において、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分な新型または再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に、患者への投与が検討される医薬品として、2014年3月に承認を取得している。ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを有している。このようなメカニズムの特徴から、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待されており、既に臨床研究や観察研究の枠組みの中で新型コロナウイルス患者に対する「アビガン」投与が開始されている。