2020年10月5日
フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、2020年9月末の終値は1米ドル=48.495ぺソで、前月末から0.010ペソ、率にして0.02%のペソ安となったが、堅調に推移したといえよう。9月の終値ベースで最もペソ高となったのは21日の1米ドル=48.365ペソ、最もペソ安となったのは、7日の1米ドル=48.670ペソだった。21日の48.365ペソは、終値ベースで、2016年11月3日の48.340ペソ以来、約3年10カ月ぶりのペソ高水準である。
フィリピンの輸入大幅減少に伴う対外収支改善や米国実質金利の過去最低水準への低下などを背景にドル安ペソ高の動きが続いている。8月央には、マニラ首都圏の地域隔離措置が緩和されるとの観測が拡がったことで、ペソが一段高となり、終値ベースで約3年9カ月ぶりに48ペソ台へ上昇、それ以降も更なるペソ高基調となっている。
2020年年初9カ月間では4.41%のペソ高となっている。月間ベースでペソが下落したのは1月と5月のみである。米国がゼロ金利政策継続方針を表明する一方、9月には、フィリピンの上半期の経常収支が44億ドルの黒字転換(前年同期26億ドルの赤字)したとの発表、8月末の外貨準備高が15%増の989億5千万ドルで過去最高を更新し続けていることが判明したことなどで、ペソ高トレンドが続いている。ただし、フィリピンでの新型コロナ感染拡大に歯止めがかからないこと、景気や企業業績が悪化していること、フィリピン経済を下支えしてきた海外フィリピン人就労者(OFW)からの送金が今年は19年ぶりに減少する可能性が高いことから、ペソが一直線に上昇していくと見る向きはほとんどいない。