2020年6月15日
日本格付研究所(JCR)は、6月12日、セキュリティバンクの外貨建長期発行体格付を、これまでのトリプルBプラス(BBB+)からAマイナス(A-)へと一段階引き上げた。格付自体が引き上げられたため、格付見通し(アウトルック)はこれまでのポジティブから安定的へと変更された。格付見通しが安定的というのは、A-という格付が当分維持されるであろうという意味である。
セキュリティバンクは、総資産規模でフィリピン第6位の民間拡大商業銀行である。国内大手財閥に属さない独立系銀行だが、Frederick Y. Dy氏が率いるDyグループが52.5%を出資する筆頭株主であり、次いで三菱UFJ銀行が2016年の出資・業務提携により20%を出資する第2位の株主となっている。また、三菱UFJ銀行はセキュリティバンクを持分法適用会社としている。
JCRは、今回のセキュリティバンクの格付引上げ理由に関して、「6月11日付けで公表されたフィリピン・ソブリン格付の格上げおよび見通し変更を反映したものである」とするとともに、「セキュリティバンクのフィリピンにおける比較的堅固な事業基盤、高い収益力、良好な資産の質、堅固な資本基盤などを反映している。また、三菱UFJ銀行との提携を生かしたリテール融資拡大などの提携シナジー効果も評価している」と説明している。
ただし、銀行業を中心とするセキュリティバンク業務は、国内規制環境や金融経済情勢の影響を受けやすいため、格付はフィリピンのソブリン格付(現在A-)までに制約されている。