2020年11月16日
フィリピンのコンビニエンスストア(コンビニ)首位の比セブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2020年6月末現在)を所有するフィリピン・セブン社(PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2010年に500店、2013年に1,000店、2017年に2,000店を突破、2019年末には2,864店に達した。
11月13日に公表されたPSC2020年9カ月間(1月~9月)の事業報告書によると、比セブン-イレブンの2020年9月末の店舗数は2,960店に達し、前年同月末の2,726店から234店、率にして8.6%増加した。2019年末の2,864店からは96店、率にして3.4%の増加となっている。そして、比ミニストップ(481店)や比ファミリーマート(ウェブ表示数75店)、比ローソン(推定65店)などとの差を拡大させている。
9月末のセブン-イレブンの店舗数2,960店の地域別内訳は、ルソン地域2,249店(うちマニラ首都圏1,018店)、セブを中心とするビサヤ地域427店、ダバオを中心とするミンダナオ地域284店。また自営店が45%、フランチャイズ店が55%となっている。
このように、比セブン-イレブンの営業基盤、競争力は強固であるが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う地域隔離措置の影響を被っている。地域隔離措置のもとでもコンビニエンスストアは常に営業継続を要請されているが、来店客数の減少に加え、移動制限により、従業員の出勤に支障が生じ臨時休業に追い込まれた店舗もある。したがって、2020年9カ月間では減収赤字決算を強いられた。ただし、一時は30%に達した臨時休業店比率は、6月末に10%弱、9月末には5%以下へと低下、業績底打ちが期待される状況である。
PSCの2020年9カ月間のグループ全売上高は前年同期比(以下同様)15.5%減の343億ペソ、営業収入は16%減の322億ペソにとどまった。最終損益は5億8,533万ペソの赤字となり、前年同期の6億9,586万ペソの黒字から激変した。特に第2四半期は、グループ売上高が31.4%減の99億2,030万ペソ、最終損益が4億9,350万ペソの赤字へと大幅悪化した。第3四半期も赤字となったが、赤字額は1億9,562万ペソへと縮小した。なお、既存店売上高は、第1四半期2.5%増加、第2四半期25.5%減少、第3四半期25.2%減少、9カ月間累計で16.2%減少した。
当面は、新型コロナウイルス感染拡大下で需要が増加している生活必需品の販売を強化するとともに、デジタル化を推進、更なるキャッシュレス化を目指す。2020年当初計画では、年間で400店を新規オープン、新規出店を中心とする設備投資額は40億ペソと予定されていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、年間新規出店数は200店、設備投資額は20億ペソへと下方修正された。2020年年間で200店出店という下方改訂目標も難しくなりつつあるが、年内に3,000店突破を図る。