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知的財産経営 in 東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第2回】

第2回

特許侵害事件で賠償金90億円って本当なの?

 

皆さん、「下町ロケット」というドラマはもうご覧になりましたか? TBS系列で放映されていたドラマで、2015年の民放ドラマでは最高視聴率を記録しました。本コラムでは、このドラマのシーンを織り交ぜながら、東南アジア域内で中小企業でも起こり得る知的財産権問題を紹介したいと思います。

 

下町ロケットの第一話では、佃製作所の主力商品であるステラエンジンが、ナカシマ工業から特許侵害で訴えられていました。損害に対する賠償金として90億円をナカシマ工業から求められ、佃社長が愕然とするシーンで、「ずいぶん賠償金額が高いな!」とお考えになった方も多いと思います。

 

一般的な法律問題とは異なり、ビジネスが対象になる知的財産権の案件は、発生した損害の基礎となる対象が、売り上げ情報になることが一般的です。そのため、実際に特許侵害をして得た利益の額からすると、驚くほど損害額が高くなってしまうのです。

 

ここ数年で最も注目を集めた特許侵害訴訟は、何と言ってもアップルとサムソンの携帯電話訴訟だと思います。この訴訟は、韓国、日本、ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、アメリカなど世界各国で提起されました。特許侵害訴訟は、マーケットごとに発生しますので、グローバルなビジネス展開が一般的になっている昨今では、複数の製造国と販売国で訴訟が提起されることも多くなっています。訴訟が行われた複数の製造国と販売国ごとに、それぞれ損害額が算定されますので、損害額の合計金額は途方もないことになってしまいます。商品の製造、流通、販売がグローバル化している今日では、知的財産権の損害が複数国で同時に発生して、その合計分をすべて支払わないといけなくなるケースも多発してしまうのです。

 

昨年、サムソンがアップルに支払うことを認めた最終的な損害賠償額は、2012年まで遡った損害額として650億円でした。そのため、ナカシマ工業から請求された賠償金90億円という額は、そんなにビックリするほど高くないとも言えますね。

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