『フィリピンの公証について』
<フィリピンの公証制度>
フィリピンで文書を作成する場合、公証人による公証 を受けるよう要求されることが多いと感じられていると 思います。そこで、フィリピンにおける公証について説明させていただきます。
<フィリピン法に基づく遺言の作成方法>
フィリピン法に基づく遺言の種類としては、日本と同様に自筆遺言と公正証書遺言がありますが、一般的には公正証書遺言が用いられていますので、その作成方法を説明します。公正証書遺言を作成するには、遺言の各ページ上部にページ番号を振るとともに、左側余白に遺言者と証人が署名を行い、遺言の末尾に遺言者と証人の署名が必要となります。なお、証人となることができる者は、フィリピンに住んでいる18歳以上の者とされています。このようにしてできあがった遺言を公証人が公証すれば完成となり、登録等は不要です。遺言においては、相続発生時に遺言を執行する遺言執行者を指定しておくことが一般的であり、たいていの場合は法定相続人の中から指定しますが、弁護士などを指定することも可能です。なお、裁判所が遺言の検認手続において遺言執行者として指定するのはフィリピン居住者に限られますので、法定相続人の中でフィリピン居住者がいない場合には弁護士等を指定する方がよいでしょう。
フィリピンでは、フィリピン在住の21歳以上のフィリピ ン人弁護士は登録を受けて公証人となることができます。 公証人の主な職務としては、書類や署名の真正性を認 証することが挙げられます。よく郵便局の前の路上に公 証できます、といったブースが出ていることがありますが、 公証人資格を有している本人がやっている可能性はき わめて低いですので、利用されないほうがいいでしょう。 公証人は、公証業務の対象となった文書についてはす べてノートに記録するとともに、原本を保管する義務が あり、1ヶ月ごとにその月に行った公証業務の内容を記 録したノート及び公証した文書の写し(一部の文書を除 く)を裁判所に提出することが求められています。
<公証のメリット></p >
フィリピンでは、不動産を対象とする権利の設定、譲 渡、修正又は消滅や不動産の譲渡に関連する契約等、 一部の文書については公証人による公証を受けなけれ ば効力が発生しません。
それ以外の契約書などについては公証を受けなくても当事者間において効力は発生しますが、公証を受け ることによりその文書は公的文書(Public Document)と して取り扱われることになります。公的文書となりますと、 後々問題が生じて裁判になった場合でも特段の立証を 行わなくてもその文書が真正なものであるとして取り扱われます。
他方、公証を受けていない文書は私的文書(Private Document)として扱われるため、裁判などで私的文書 を証拠として利用するためには、それが適式に作成されたこと及びそれが真正なものであることをその文書が 署名又は作成されたことを目撃した者の証言やその他の証拠により証明することが必要となります。
後々争いになった場合の煩雑さを考えますと、契約書 などについてはなるべく公証を受けておくことがリスク 管理の面からも望ましいといえるでしょう。
結論
本稿においてフィリピン法に関する記載につきましては、Quasha Law法律事務所の監修を受けております。
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