2020年10月28日
フィリピンの最大銀行であるBDOユニバンク(BDO、本店マニラ首都圏マカティ市)は、10月26日、2020年第3四半期(7月~9月)及び9カ月間(1月~9月)の事業報告書を発表した。
それによると、2020年9カ月間については、主力の融資事業などからの純金利収入は前年同期比(以下同様)13%増の998億ペソと依然好調であった。一方、非金利収入は17%減の368億ペソへと二桁減少した。サービス・手数料収入が24%減の174億ペソにとどまったことが響いた。
営業費用は3%減の836億ペソへと節減されたが、今後本格的な顕在化が予想される新型コロナウイルスの打撃に備え、238億ペソの貸し倒れ引当の積み増しを行ったことで、9カ月間の純利益は48%減の166億ペソへと二桁減少した。貸し倒れ引当は、第1四半期に21億ペソ、第2四半期に203億ペソ、第3四半期に14億ペソ積み増しされた。その結果、第1四半期は88億ペソの純利益ながら、第2四半期は45億ペソの純損失(前年同期は104億ペソの純利益)となった。しかし、第3四半期は123億ペソの純利益へと急回復した。
2020年9月末の融資残高は6%増の2兆2,417億ペソとなった。一方、受け入れ預金残高は9%増の2兆5,746億ペソに達した。コストの低い当座預金・貯蓄口座(CASA)比率は79%に達した。そして、総資産は3兆3,084億ペソといずれも業界断トツとなっている。
また、総不良債権(NPL)比率は1.97%と依然2%以下、不良債権貸倒引当率は138%と高い水準を維持している。自己資本は3,786億ペソ、バーゼル3基準による自己資本比率(CAR)は14.3%、普通株中核自己資本(CET1)比率は13.2%で、中央銀行による各々の最低基準である10%、8.5%をかなり上回っている。
BDOは、フィリピン全土に1,400店以上の営業拠点、4,400台以上のATMを有している。また、アジア、北米、中東など海外に、香港とシンガポールのフルサービス支店を含む16の送金拠点・事務所を有している。フィリピンでは、ジャパンデスクを設置しており、日系企業向けサポート体制が充実している。日本企業のフィリピン進出増加に対応すべく、日本の国際協力銀行(JBIC)や有力地方銀行との提携を進めてきている。