2020年7月30日
三菱自動車工業(本社:東京都港区)は、7月27日、三菱自動車が強みを持つ地域・商品に経営資源を集中投入する2022年度までの新中期経営計画「Small but Beautiful」を発表した。
本計画は計画年度後に会社の持続的な成長を実現させるため、経営基盤を安定させる構造改革であるコスト改革と収益力改革に重点を置いている。このために、これまでの全方位拡大戦略から方針を転換し、集中と選択をさらに加速させる。
具体的な施策は、生産能力・販売体制・商品ラインナップの見直しや、固定費の大幅削減などを含む。その上で、三菱自動車の強みのあるアセアン地域に経営資源を集中投入する。さらに、三菱自動車らしい自社開発のPHEVやHEVといった環境技術と4WD技術の強化に加え、アライアンス・パートナー技術を活用した世界最新レベルのクルマを提供することで、収益力を高める。本計画の主な取り組みは以下の通り。
・固定費を2019年度比20%以上の削減、さらに集中投資で収益力を向上
・アセアンに経営資源を集中し、同市場のマーケットシェア11%超に拡大
・アセアンに続く第二の柱として、アフリカ・オセアニア・南米市場を開拓
・2022年度までに新型車投入により環境対応車(PHEV・EV)のラインナップを強化、2022年度以降もアセアンでピックアップトラック・SUV・MPVなど新型車を投入
なお、三菱自動車のアセアン4カ国(フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナム)での2019年度の新車販売シェアは10.6%で、日本での2.1%、欧州での1.0%、北米0.8%に比べ非常に高い。個別では、フィリピンが16.0%と非常に高く、インドネシア10.7%、ベトナム9.8%、タイ8.6%と続く。2022年度にはアセアン4カ国でのシェア11.4%(フィリピン17.8%、インドネシア11.4%、ベトナム10.0%、タイ9.3%)を目指す。
フィリピンでは、環境対応車(PHEV・EV)のラインナップ強化、ピックアップトラック・SUV・MPVなど新型車投入にくわえ、現地仕様小型商用車L300を一部のASEAN諸国に輸出する計画である。三菱自動車のフィリピンにおける生産・販売会社であるミツビシ・モーターズ・フィリピン・コーポレーション(MMPC)において、7月28日、L300の累計生産台数が20万台に達した。
三菱自動車は現在、全社的にはやや苦戦を強いられているが、フィリピンでは強固な事業基盤を構築し、販売台数は堅調な推移を辿り、MMPCは、トヨタモーター・フィリピンに次ぐ業界第2位の地位を確固たるものにしている。上記のように、市場シェア16%は、他の市場のシェアを大幅に上回り、世界最高となっている。MMPC市場シェアが、他市場に比べ非常に高いのは、フィリピンでの歴史が長く地道に事業基盤を強化してきたこと、モンテロ・スポーツ、パジェロ、ASX、アドベンチャー、L300など現地ニーズの高い多目的車のラインアップが豊富であることなどが挙げられる。
MMPCの起源は1963年2月、そして、1964年5月にクライスラー・フィリピンとして生産を開始した。すなわち、生産開始から56年の歴史を有している。2009年にはフィリピン国内の自動車会社として初めて累計生産50万台、2016年5月には60万台、2019年11月には70万台を達成した。また、2019年4月には累計販売台数100万台を達成している。