2020年7月17日
世界的な会計コンサルティンググループである太陽グラントソントンは、7月16日、2020年5~6月に実施した非上場企業を中心とする2020年上半期の中堅企業経営者の意識調査(景況感)の結果を公表した。この調査は、グラントソントン主要加盟国が年に2回実施する世界同時調査の一環である。景況感は、各国の全回答数のうち「非常に楽観的」または「やや楽観的」と回答した社数の割合を当該国の景況感とする(単位:%)。かつては四半期毎の調査結果の発表としていたが、2016年第2四半期より年2回の発表に変更された。
今回の世界29カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する2020年上半期の調査結果は、全調査対象国平均では前回の2019年下半期の調査(2019年10月~11月実施)結果から16ポイント下落の43%を記録し、過去10年のうち最大の落ち込みを見せた。さらに、前回調査から29ヵ国中27ヵ国がマイナスに転じ、うち半数以上は2桁マイナスを見せるなど、多くの業界の企業の経済活動に打撃を与える新型コロナウイルスの影響が世界中で色濃く表れる結果となった。
アジア太平洋地域平均は前回比-9ポイントの47%、EU加盟国(7カ国)平均では-16ポイントの29%、BRICs平均では-14ポイントの58%と、地域や経済規模にかかわらず、広範囲で大きく下落した。最も高い景況感はアラブ首長国連邦の69%であったが、これは過去10年での最上位国の数値と比較してみると最も低い記録であり、世界的な水準の大幅な下落が伺える結果であった。2位はベトナムの65%(-17ポイント)、3位は中国の65%(-9ポイント)であった。
下げ幅が大きかった国として、前回調査で大きく回復したギリシャが一転し32ポイントの下落をみせ37%となったほか、ブラジルが-29ポイント下落し40%、メキシコが26ポイント下落し41%、米国が23ポイント下落し50%など激しい2桁下落が続いた。ランキング下位では、調査対象国中唯一の1桁台を記録した日本の6%に次いで、韓国10%、スウェーデン13%と、10%台の悲観的な結果が目立った。調査対象国の大半が大幅に落ち込む一方で、改善を示したのは、ナイジェリアの5ポイント上昇の64%、とマレーシアの12ポイント上昇の45%の2カ国のみであった。
フィリピンは前回(67%)比13ポイント低下、前年同期(84%)比30ポイント低下の54%へと急低下した。前年同期は唯一の80%台で世界第1位であったが、今回は世界7位にとどまった。前回の10位からは上昇となったが、ASEANでは、前回と同様、ベトナム世界第2位、インドネシア世界第6位の後塵を拝するという結果となった。