2020年10月12日
インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)のコンバージICTソリューションズ(コンバージ)が、新規公募(IPO)実施・フィリピン証券取引所(PSE)への新規上場計画を推進しつつある。
10月8日、このコンバージのIPO価格が1株当たり16.80ペソと最終決定された。当初設定された24ペソという上限に比べ30%低い水準となった。コンバージは、2020年10月12日から19日にIPOを実施、10月26日(当初予定27日から変更)にPSEメインボードに上場する。IPOにおいて最大で17億3,106万株(15億0,527万株+追加オプション2億2,579万株フル行使の場合)の普通株式を売却する計画である。1株当たりIPO価格は16.80ペソであることから、IPO規模は最高で約291億ペソとなる。
コンバージは、IPOによる調達額の90%を設備投資に充当する予定である。現在、ルソン島に約75万の契約者を有するが、2021年までにミンダナオやビサヤでも本格事業展開する意向でもある。2019年9月には、米国の投資会社ウォーバーグ・ピンカスから2億5,000万米ドルの出資を受けている。
コンバージのIPO・PSE上場計画が順調に進展した場合、2020年3社目のIPO実施企業、4社目のPSE新規上場企業となる。まず6月15日、PSE中小新興企業(SME)ボードに、小売企業であるメリーマート・コンシューマーコープ(メリーマート、取引コードMM)が新規上場された。1株当たりIPO価格が1ペソであり、IPO規模は約15億9,494万ペソという小型案件であった。
6月26日には、ゴコンウェイ財閥傘下の不動産企業であるアトラス プロパティー ベンチャーズ(APVI)が、SMEボードに上場。今年、2社目の新規上場となった。ただし、IPO(新規公募)なしのイントロダクション方式の新規上場であった。
8月13日には、アヤラランドグループによるフィリピン初のREIT(AREIT)が、PSEメインボードに新規上場された。今年3社目の新規上場、今年初のメインボードへの新規上場となった。また、今年2社目のIPO実施企業となり、そのIPO規模は約135億7,000万ペソであった。
なお、PSE新規上場は年間数社のペースにとどまっている。裏口上場(バックドア・リスティング)を除くと、2014年は7社、2015年から2017年までは各々4社のみという低水準さである。2018年は、不動産・建設企業D.M.ウエンセスラオ(DMW)1社のみであった。2019年も、不動産賃貸・管理企業であるケプウェルス プロパティー フィルズ(KPPI)、ホームセンターのオールホーム(HOME)、ココナッツ製品のアクセリューム(AXLM)、そして、ジューススタンド・チェーンのフルータス(FRUIT)の4社のみであった。新型コロナウイルス禍の2020年も低水準となりそうである。