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第8回 フィリピン・ビジネスパーソンインタビュー / Elbert Cuenca

お馴染みのフィリピンで活躍中のアノ人に直撃!日本人以外にもフィリピンには注目のキーパーソンが多く暮らしています。そこで、国籍問わず活躍中のビジネスパーソンにもフィリピンにおける「いろは」を語ってもらうコーナーがスタート!

AIDE  Co-Founder and CEO
Paolo Bugayong パウロ・ブガヨンさん


レストラン産業に関わって約23年。エルバート・クエンカ氏は、アップルに勤務した経験も。以前は、ラーメン・優勝軒、メンドコロ・ラーメンバ、日本料理店のKazunori (和徳)の経営チームに関わっていたが、現在は彼自身が手掛けるオリジナルベンチャー企業“ステーキ・ルーム・コンセプト”(Steak Room Concepts)に専念している。

 

編集部

 

飲食業に入ったきっかけについて教えてください。

 

Elbert Cuencaさん

 

私の父は、1977年に開業した、「ふるさとジャパニーズレストラン」(以下、ふるさと)の社長を務めていました。それが私のスタート地点でしょう。以前、「クラブ・マー」で、マーケティングをしていて、それが最初に経験したホスピタリティ業でした。当時、「ふるさと」は従弟たちが経営。1995年、彼らが新しい日本食レストラン「Zen」をオープンすると言うのでマーケティングを担当しました。2000年、私は家業から身を引き、クラブやレストランなどのコンサルタント業に携わりました。IT業に関わる前です。2002年には、レストラン業に戻り、Restaurant12をグリーンベルトにオープンしましたが、2004年に閉店。レストラン業の厳しさを学びました。そして、IT業に戻り、パソコンの使い方を1対1で教える仕事で、たくさんの出会いがありました。その中には私の良き友人、実業家の故Archie King氏もいます。彼は、Victoria Court Group of Companies のオーナーでした。私は彼に、ステーキレストランのアイディアを打ち明け、彼は私の良きパートナー、助言者となり、2007年、ついにエルバート・ステーキ・ルームをオープンさせました。

 

 

編集部

 

人気レストランの秘訣を教えてください。

 

Elbert Cuencaさん

 

そもそも、なぜこのレストランに来てくれたのか。それを探ることが大切なことだと思います。お客様が来てくれる理由が分かれば、また来てもらえるよう、何をすべきか分かるはずです。目的は、お客様の求めるものを提供することです。お客様が求めるものが、質の高い料理とサービスであったなら、その期待に応えるべく、努める必要があります。私はスタッフ全員に対して繰り返し伝えていることがあります。我々の目的はお金儲けではない、お客様を満足させることだ。お客様がレストランを出る時、笑顔でいてくれたなら、我々の目的達成だ、と。

 

 

編集部

 

Steak Room Conceptsとはどんな企業ですか?

 

Elbert Cuencaさん

 

このビジネスについて考えを巡らせたとき、以前行ったこと全てを簡素化しよう、と思いました。もしレストランに100種類もの料理があったら、そのすべてを満足ゆく物にはできないでしょう。なぜなら焦点を見失うからです。そこで私は、シンプルにステーキを提供しようと決めました。Steak Room Conceptsと言う企業名は、ステーキが我々の商売であり、小さな店舗なので、文字通りステーキ“ルーム”としました。それから、人々が「店名の意味は何だろう」と思わないよう、単刀直入でありたいと思いました。Elbert’s Steak Roomと、自分の名前をレストランにつけることにより、エルバートが心を込めて贈ります、私はいつもここにいる、と親しみを伝えることが出来ます。

 

 

編集部

 

他のステーキ店との違いは何ですか?

 

Elbert Cuencaさん

 

Elbert’s Steak Roomはおそらく、最も小さなステーキハウスです。意識的にそうしました。お客様をもてなすことに専念するためです。テーブルが少ないほど、お客様に気を使うことが出来ます。最もステーキ中心のステーキハウスでしょうね。というのも、それ以外の料理は提供していないから。他のステーキハウスは、シーフードやパスタも提供しています。しかし我々はステーキに専念。サイドメニューのシーフードはあります。(メニューに小さく書いてあります)万が一のためにね、ただ、メイン料理ではありません。そして、ディナーのみのステーキハウスから、高級ランチ、ステーキディナーを提供し、シガー&シングルモルトウイスキーバー(Riedel Room - オーストリアのグラスメーカーにちなんで名付けた)を持つまでに成長しました。

 

 

編集部

 

2007年、Elbert’s Steak Roomがオープンした時、どんな課題点がありましたか?

 

Elbert Cuencaさん

 

最大の課題は、資金が底をついてしまったことです。経済的に余裕がないところからスタートしましたから。そこで、レストランを部分的にオープンさせることにしました。テーブルは3卓。残ったお金で3つのテーブルに必要なリネン、お皿、ナイフ、フォークなどを買いました。3卓でスタートしたレストランですが、毎日お客様が来てくれました。そんな時、私のMac指導員時代に会った人達が皆、お客様になってくれました。彼らは、医師、主婦、事業家、弁護士、銀行家など、様々な職業の人達です。一人がまた別の人を招待する、口コミで評判が広がってゆきました。この時私は、宣伝する必要はないと気づきました。看板も出していないんですよ。それが現在のレストランへと成長する手助けとなりました。それぞれのテーブルから出た儲けは、レストランに必要な物を買うために費やし、12月にレストランは完成。利益はありませんでしたよ、私たちはすべてをレストランに再投資しましたから。

 

 

編集部

 

近い将来のプランを教えてください。

 

Elbert Cuencaさん

 

そういうことは考えたくありません。私がする多くの事は自然なこと。計画を立てないですし、さらなる物を求めて自分を追い込んだりしません。機会がやって来た時、それを掴むのです。料理でお金を儲けない。私が切望する物、それは料理を出来るだけ多くの人とシェアすることです。SteakRoomに関して私が思うことは、私自身が市場を、少なくともその一部を代表している、と言うことです。このようなレストランを探していましたが、存在しませんでした。だから私がそれを作り、人々に受け入れられ、嬉しく思います。同じことが、ロックウェルにある、私のサンドイッチ店と、ラーメン店に言えます。私のプロジェクトはすべて、収まるべきところに収まるプロジェクトです。自らプロジェクトを計画したり、決定を強いたりしません。

 

 

編集部

 

ご自身の経営スタイルを表現すると?

 

Elbert Cuencaさん

 

私はとてもカジュアルです。計画性は全くありません。物事は自然に進んでいくと信じています。雇用する時の面接に、私は5分しかかけません。そして最後に、「明日から来てください」と言います。履歴書を見たり、面接をしただけで、仕事が出来るかはわかりません。それを知るためには働いてもらうのみです。また、従業員に対しては、友達、という感覚で、上司として見られたくないですね。従業員からは、指導者とか、教えてくれる人、としてみてもらいたいです。それから私は、大変な理想家です。なぜそうするのか、どうやるのか。私の考えをシェアする、それが私の経営スタイルです。お金がモチベーションであってはならない。これは、私が従業員に教えている教訓の一つですが、皆驚きますよ。お金目当てで働くと、お客様はそれを感じ取ります。そしてもう来店してくれません。しかし、お金のために働いているのではないと分かれば、お客様は心からのおもてなしを受けていると感じます。チップがもらえたら嬉しいですが、それを期待してはいけません。それはご褒美。どのようにしてサービスを高め、保っていくか。それが大切です。

 

 

編集部

 

尊敬している人は誰ですか?

 

Elbert Cuencaさん

 

Archie King氏です。私のパートナーであり、最初に投資をしてくれた人です。彼は億万長者の実業家です。その彼が私と知識をシェアし、実の息子のように、ビジネスを教えてくれました。また、私の考え方は、Steve Jobs氏の影響も受けています。アップルは、宣伝を行わない時期がありました。お客様がリピートするから、商品を出せばいいと感じたからです。私はいつも、シンプルで使いやすいアップル製品を信じています。これらの多くの要素を自分のお客様との経験にも活かしています。出来るだけ、率直、シンプルでありたいと思います。

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家庭医療のプラットフォームを展開するAIDEを創業したPaolo Bugayong氏。自身の経験からフィリピンの医療システムに課題を感じ、スマートフォンを通じて自宅で医療サービスを受けられるシステムを開発した。「成功に近道はない」を信条に、目の前の患者と仕事に全力で向き合い、サービスの拡大を目指す。
フィンテック分野で急成長を遂げているFirst Circle(ファーストサークル)の副社長を務めるMoritz Gastl氏。独自に開発した信用評価プロセスを基に、スタートアップやスケールの小さい企業の事業成長を資金面からサポートする。
現在経営するAdMov Marketing Solutionsを含めて、これまでに3社のスタートアップを起業したCapiral氏。企業に勤めた経験や経営者としての視点をもとに、新たなテクノロジーを使った広告を考案。広告業界を大きく変えるチャレンジを続ける。
Ernani Omar Cruzさんは医療保険管理システムを運営する「S t a s h 」のCEOだ。国際的なIT企業や金融、航空業界など様々な業界の大企業で働いた経験を生かし「Stash」を創立。
Ryan K. Cruz氏はRamen Yushoken(優勝軒)、Mendokoro Ramenba(麺処ラーメンバー)、Kazunor(i 和徳)というメトロマニラで名高い3つの日本食レストランの経営者だ。
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