2020年6月18日
6月15日、フィリピン証券取引所(PSE)中小新興企業(SME)ボードに、小売企業であるメリーマート・コンシューマーコープ(メリーマート、取引コードMM)が新規上場された。株価は初日から3日連続でのストップ高が続いた。
メリーマートは、PSE新規上場に先立ち、新規公募(IPO)を実施した。IPO期間は5月27日~6月5日であった。IPOにおいては、普通株(1株当たり額面:0.05ペソ)が約15億9,494万株売却された。IPO価格が1ペソであり、IPO規模は約15億9,494万ペソという小型案件である。
メリーマートの上場初日である6月15日は、いきなりストップ高(50%上昇)の1.50ペソで寄り付いた。引けも1.50ペソに多くの買い物を残していた。すなわち、初日50%急騰という人気ぶりであった。上場2日目の寄り付きもいきなりストップ高の2.25ペソで寄り付いた。一時1.91ペソまで軟化する場面もあったが、引けは2.25ペソで、かつ多くの買い物を残していた。
上場3日目の6月17日も、ストップ高の3.37ペソで寄り付き、一瞬3.20ペソまで軟化する場面があったが、すぐに3.37ペソへ戻し、多くの買い物を残しながら3.37ペソで引けた。すなわち、3日連続のストップ高で、IPO価格1ペソの3.37倍へと急騰した。
メリーマートの創業者であり会長兼CEOは、2010年にJFCグループ入りしたバーべキュー・チェーン「マン・イナサル」創業者エドガー・シアⅡ氏である。エドガー・シアⅡ氏は、急成長不動産企業ダブルドラゴンの会長兼CEOでもある。すなわち、エドガー・シアⅡ氏傘下のメリーマートは、ダブルドラゴングループ企業ともいえる。
ちなみに、ダブルドラゴンは、2014年4月7日、メリーマートと同じようにSMEボードへ新規上場された。IPO価格は2ペソであったが、短期間で20ペソまで急騰、その後一時約80ペソまで上昇、IPO価格の40倍に達した。株価が短期で急騰、時価総額も急拡大したため、短期間でSMEボードからメインボードへと昇格したという経緯がある。
2020年は新型コロナ感染拡大などで証券市場が混乱してきており、メリーマートが2020年のIPO・PSE新規上場第1号となった。かつて株価急騰を演じたダブルドラゴンと同グループということもあって、ダブルドラゴン上場時の急騰再現願望が強いといえよう。
なお、PSE新規上場は年間数社のペースにとどまっている。2014年は7社、2015年から2017年までは各々4社のみという低水準さである。2018年は、不動産・建設企業D.M.ウエンセスラオ(DMW)1社のみであった。2019年も、不動産賃貸・管理企業であるケプウェルス プロパティー フィルズ(KPPI)、ホームセンターのオールホーム(HOME)、ココナッツ製品のアクセリウム(AXLM)、そして、ジューススタンド・チェーンのフルータス(FRUIT)の4社のみであった。新型コロナウイルス禍の2020年も低水準となりそうである。