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【フィリピン経済ニュース】20年の株価8.6%下落、外国人1,287億ペソ売り越し

2021年1月5日

株価、年末終値7千ポイント台回復

フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2020年12月末終値は7,139.71ポイントとなり、前月末と比べて5.13%上昇、月間ベースで3カ月連続の上昇となった。また、月末値ベースで1月以来11カ月ぶりの7,000ポイント台回復となった。

12月は、主要国での新型コロナワクチン開発進展報道、それに伴う主要国株式市場の上昇、フィリピン経済や企業業績の底打ち期待などを背景に、終始7,000ポイント台で推移した。終値ベースでの月間最安値は1日の7,009.56ポイント、最高値は16日の7,299.70ポイントだった。

年間で8.6%下落、一時4千台へ急落

2020年年間では、PSEiは8.64%の下落となった。世界的な新型コロナ拡大やその対策としての地域隔離措置発動などで、3月に一時4,000ポイント台まで下落した後、地域隔離措置緩和などで反発基調となり、6月と7月の大半は6,000ポイント台で推移したが、8月から10月中旬までの大半は5,000ポイント台での推移となった。10月以降、再上昇基調となったが、主要国市場で急反騰の牽引役となっている有力IT企業や医薬品企業がPSEには見当たらないことなどから、反発ピッチはさほど強くなかった。

金融株22.3%下落、不動産株11.8%下落

年間の大分類セクター別指数動向については、資源開発セクターである鉱業・石油株(+17.75%)を除き、軒並み下落。下落率の大きい順に、金融株(-22.32%)、不動産株(-11.80%)、持株会社株(-3.13%)、工業株指数(-2.51%)、サービス業株(-1.11%)となっている。鉱業・石油株の二桁上昇は、中国での需要回復などによる金属市況上昇による。

外国人売り越し急増、8.9倍の1,287億ペソに

2020年、外国人は1,286億5,200万ペソの売り越しで、前年の約145億0,400万ペソの売り越しから8.9倍へと急増した。外国人の売買額シェアは45%で、前年の55%から低下。12月末のPSE時価総額は15兆8,889億ペソ、そのうち国内企業時価総額が13兆0,994億ペソであった。

新規上場4社、依然低水準

2020年のIPO件数3件、新規上場社数は4社と引き続き低調であった。6月15日、PSE中小新興企業(SME)ボードに、小売企業であるメリーマート コンシューマーコープ(メリーマート、MM)が新規上場された。1株当たりIPO価格が1ペソであり、IPO規模は約15億9,494万ペソという小型案件であった。6月26日には、ゴコンウェイ財閥傘下の不動産企業であるアトラス プロパティー ベンチャーズ(APVI)がSMEボードに新規上場、2社目の新規上場となったが、IPO(新規公募)なしのイントロダクション方式の新規上場であった。

8月13日には、アヤラランドグループによるフィリピン初のREIT(AREIT)がPSEメインボードに新規上場された。2020年3社目の新規上場、初のメインボードへの新規上場となった。また、2020年2社目のIPO実施企業となり、そのIPO規模は約135億7,000万ペソであった。10月26日には、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)のコンバージICTソリューションズ(コンバージ)がメインボードに新規上場、2020年4社目の新規上場、3社目のIPO実施企業となった。そのIPO規模は約290億ペソであった。

比ペプシ上場廃止、上場銘柄数伸び悩み

PSEへの新規上場企業数は、2015年から2017年までは各々4社、2018年は1社、2019年と2020年も各々4社と低水準で推移している。一方、自主的に上場廃止となる企業もある。2019年のカジノリゾート「シティ・オブ・ドリームス・マニラ」(CDM)を運営するメルコ リゾーツ&エンターテイメント フィリピン(MRP)とカジノリゾート「リゾーツワールド・マニラ」を運営するトラベラーズ インターナショナル ホテル(トラベラーズ)の自主的上場廃止に続き、2020年12月18日には、ペプシコーラ プロダクツ フィリピン(PCPPI)が自主的上場廃止となった。さらに、ロペス財閥の旗艦企業であるロペス ホールディングス(PSE証券コード:LPZ)が、12月14日、自主的上場廃止を申請した。

このようにPSE上場企業数が低水準で推移する一方、上場廃止も相次いでいることから、PSE上場銘柄数(2020年末275銘柄)増加ピッチは鈍い。したがって、投資家の選択は限られPSEの魅力は高いとは言い難い。REITも法制化10年後の2020年にようやく第1号が誕生したばかりである。公式な空売り制度もスタートしていない。PSEは空売りも含む投資手段の多様化を図るとともに、新規上場基準を緩和して未上場企業の上場志向を高める方針である。

資金調達額、2.9%増の1,040億ペソに

2020年のPSEでの資金調達額は1,040億ペソで、前年の1,010億ペソから2.9%増加した。1,040億ペソの内訳は、IPOで443億ペソ、公募増資で412億ペソ、株主割当増資で128億ペソ、第3者割当増資で56億ペソであった。上記のように、IPO件数は僅か3件であったが、コンバージのIPOがフィリピンのIPOとしては大型案件であったことなどで、総調達額は前年を上回った。

上場企業の業績悪化、PER上昇
ビジネスワールド紙集計によると、PSE指数(PSEi)採用30社の第3四半期業績は前年同期比(以下同様)38%減益となった。新型コロナウイルス対策としての地域隔離措置の緩和により、第2四半期の59%減益からは回復傾向となったものの、9カ月間では依然52%減益を強いられている。したがって、PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は24.88倍となり、前年末の16.52倍から大幅に上昇した。

 

その他の記事

 12月23日付けビジネスワールド紙が、三井住友フィナンシャルグループや三井住友銀行が、米国の取引銀行と提携して、アジアでの銀行買収を模索していると報じた。

住友商事(本社:東京千代田区)及び総合車両製作所(J-TREC、本社:神奈川県横浜市)は、12月21日、「フィリピン運輸省(DOTr)よりマニラ首都圏地下鉄事業フェーズ1(北部ケソン市~南部パラニャーケ市)の車両納入パッケージCP107(マニラ地下鉄向け鉄道車両240両納入プロジェクト)を受注し、12月15日に契約を締結した」と発表した。

三菱UFJ銀行(MUFG)マニラ支店は、毎年後半に、MUFGセミナー(経済・為替関連講演会)を開催している。しかし、2020年は新型コロナ禍でMUFGセミナーは中止せざるを得なくなり、セミナーの代わりに、「フィリピン経済概況 ペソ為替・金利見通し」という資料を作成、顧客などに案内している。

日本政府観光局(JNTO)は12月16日、2020年11月の訪日外客数推計値を発表した。それによると、11月の訪日外客数は前年同月比97.7%減の5万6,700人で、14カ月連続で前年同月を下回ったものの、実数としては前月から増加した。

日本外務省は、「12月14日午後、菅義偉内閣総理大臣は、ロドリゴ・ドゥテルテ・フィリピン共和国大統領と電話会談を行った」と発表した。その概要は以下のとおり。

貿易産業省(DTI)付属の投資促進機関の一つであるフィリピン経済区庁(PEZA)が、2020年11月現在、過去25年間に認可した投資案件は総額3兆9,000億ペソ相当に達した。

臨床検査機器・体外診断用医薬品メーカーのアークレイ(本社:京都市中京区)のフィリピン製造子会社であるアークレイ インダストリー社(AII)は、「i-densy Pack UNIVERSAL」を使用した逆転写ポリメラーゼ反応(RT-PCR)新型コロナウイルス検査キットの製造を開始した。

2020年12月4日のペソ対米ドル終値は、1ドル=48.040ペソで前営業日の48.045ペソから0.005ペソ続伸した。

開発予算調整委員会(DBCC)は12月3日、2020年~2022年の中期マクロ経済目標やその前提条件見直しのための会議を開催した。

フィリピン統計庁(PSA)は12月2日、2020年第2四半期(4月~6月)の民間建築統計速報値(認可済み建築許可申請から抽出)を発表した。

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