2020年9月4日
フィリピン統計庁(PSA)が9月3日に発表した2020年7月の労働力調査(LFS)によると、失業率は10.0%(速報値)、失業者数は457万1千人で前年同月の243万7千人から87.6%増加した。
15歳以上の人口は前年同月比(以下同様)2.2%増の7,406万1千人で、労働力参加率は61.9%と前回調査時(2020年4月)の55.6%から増加したが、前年同月(62.1%)は下回った。就業者数は2.9%減の4,130万6千人、就業率(雇用率)は90.0%(前年同月94.6%)にとどまった。
就業者4,130万6千人のうち、農業部門が26.3%、鉱工業部門が18.8%、サービス部門が54.8%を占める。就業形態は、賃金労働者が全体の60.4%を占め、その47.1%が民間企業労働者、9.1%が政府系企業社員・公務員だった。自営・事業主は全体の31.9%、無給家内労働者は7.7%。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の56.1%で、前年同月の67.9%を下回ったが、前回調査時の29.2%から大幅に増加した。
不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)数は23.1%増の713万7千人(不完全就業率は17.3%)と増加した。
失業者(457万1千人)を年齢層でみると、15歳-24歳:38.0%(19年7月45.9%)、25歳-34歳:30.8%(同33.0%)、35歳-44歳:14.0%(同10.1%)、45歳-54歳:10.9%(同6.4%)、55歳-64歳:5.2%(同3.6%)。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は37.5%(卒業者は27.8%)、大学進学・卒業者では38.0%(卒業者は24.8%)。性別では、男性61.1%、女性38.9%。
地域別では、失業率の最も高い地域(首都圏除く)は、首都圏(NCR)の15.8%。次いで、カラバルソン(12.4%)、中央ビサヤ(11.7%)、イロコス(11.1%)。一方、最も低かったのは、ムスリム・ミンダナオ・バンサモロ自治区(3.8%)、次いで、ミマロパ(5.7%)だった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散防止のため3月16日から実施された「強化されたコミュニティー隔離」(ECQ)措置のもと、公共輸送機関のサービス停止と外出制限により職場に行けない、働けない人達が続出したが、6月1日以降は大部分の地域が外出・移動制限の緩和された「一般的コミュニティー隔離」(GCQ)措置に変更され、徐々に職場への復帰や営業が可能となった。
なお、フィリピンでは、毎年1月、4月、7月、10月に失業率などの労働・雇用動向統計が発表される。この4回の平均値が年間平均失業率として発表される。フィリピン統計庁(PSA)によると、下表のとおり、2019年の年間平均失業率は5.1%となり前年の5.3%から0.2%ポイント改善した。算出基準が変更されており単純な比較はできないが、継続的な記録の残る1993年以降の年間ベースで最低記録となった。しかし、2021年は、新型コロナ感染拡大により、二桁台へと急悪化する可能性がある。