2020年9月2日
フィリピン証券取引所(PSE)上場の不動産企業の2020年上半期(1月~6月)事業報告書発表が出揃った。主要13社の動向は下表のとおりであるが、急成長企業であるダブルドラゴン以外全て減益決算となった。平均すると、約40%の減益である。
2020年上半期は、新型コロナウイルス感染拡大やその対策としての地域隔離の影響を大きく受けた。外出・移動制限による営業活動中断、不動産開発工事中断や完工遅延、3月央からのショッピングモール等の一時閉鎖(食品売り場など除く)などが響いた。
業界トップを争うアヤラランド(ALI)とSMプライムホールディングス(SMPH)ともに、モール一時閉鎖等に伴う賃貸料収入減少などが響き、各々70.2%減益、45.9%減益(帰属純利益ベース、以下同様)と大幅減益となった。SMPHは、傘下のSMデベロップメント(SMDC)が主導する住宅事業の増収増益がモール事業の落ち込みのクッション役となったことで、減収率、減益率ともにALIを下回った。
この結果、2020年上半期の不動産業界収入トップはSMPHの444億ペソ、帰属純利益トップもSMPHの104億ペソであった。上半期末の総資産トップはALIの7,109億ペソ、純資産首位はSMPHの3,012億ペソであった。また、増益率トップはダブルドラゴンの117.8%、減益率が大きかったのはベルコープ(カジノリゾート・ソレアの大家)の84.5%、ALIの70.2%などであった。
地域隔離措置は徐々に緩和されてきているが、ショッピングモールの客足の戻りは鈍く、ソーシャルディスタンス措置の営業活動妨げ、外国人投資家のフィリピン入国の困難さ等は続きそうであり、不動産業界は下半期も苦戦することが予想される。